【神谷正孝の教育時事2021(3)】2017・18年告示学習指導要領の「総則」のポイント

【神谷正孝の教育時事2021(3)】2017・18年告示学習指導要領の「総則」のポイント
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kei塾主任講師 神谷 正孝

試験対策としてどこを押さえるか

皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。今回は、学習指導要領の内容として「総則」について解説してみたいと思います。

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学習指導要領中で筆記試験において出題の頻度が一番高いのが、「総則」です。指導要領では、総則は別掲の通り6項目にわたって整理されています。第1 小学校(中学校、高等学校)教育の基本と教育課程の役割」においては、特に2の項目が重要です。「生きる力」の育成に関連して、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の育成が示されています。続いて、「育成を目指す資質・能力」では、答申でも示された「資質・能力の三つの柱」について整理されています。「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の3つについては、その内容も含めて指導要領解説などで確認することが大切です。最後に、4の項目で示された、「カリキュラム・マネジメント」も用語として重要です。総則の「第2 教育課程の編成」では、2の項目「教科等横断的な視点に立った資質・能力」が重要です。言語能力や情報活用能力、問題発見・解決能力などの学習の基盤となる資質・能力の育成や現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の育成において、教科等横断的な視点で育成していくことが示されています。続いて、内容・授業時数の取り扱いと実務的な事項が示されますが、内容の取り扱いについては、学習指導要領の最低基準性が明記されています。授業時数の取り扱いに関しては、授業の1単位時間は各学校が適切に定めること、10〜15分間程度の短い時間を単位とした特定教科の指導を一定条件下で各教科の授業時数に算入できること(前回改訂で中高で可能、今回改訂で小でも可能になった)、総合的な学習の時間と学校行事の同時実施の3点がポイントです。総則の「第3 教育課程の実施と学習評価」は、「第1」に続いて重要で、この中で示されている「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」の項目については、論文や討論のテーマともなる重要な内容なので、自分ならばどのように取り組むかという、実践についてもイメージしておく必要があります。また、「主体的・対話的で深い学び」がそもそもどのような学びを指すのかについては、指導要領解説などで確認しておきましょう。総則の「第4 児童生徒の発達の支援」の項目までが、試験に頻出の分野です。この項目では、特に障害のある児童生徒への支援について、特別支援学級の教育課程に「自立活動」を取り入れること、通級指導の教育課程で「自立活動」を参考にした指導を行うこと、特別支援学級・通級指導では、個別の教育支援計画・個別の指導計画を作成すること(左記以外は2つの計画は作成に「努める(=努力義務)」)の3点を押さえておきましょう。

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上記をもとに、試験対策のなるべく早い段階で学習指導要領の本文を読み込み、ポイントを押さえ、指導要領解説で確認するようにすると、理解が進むはずです。

【例題】
1.次の文は、平成29年3月に文部科学省から告示された小学校[中学校]学習指導要領[平成29年告示]の「第1章総則」「第1章小学校[中学校]教育の基本と教育課程の役割」の一部です。文中の空欄にあてはまる語句を書きなさい。なお、[  ]内は中学校学習指導要領における記述である。
(1) 基礎的・基本的な知識及び( 1 )を確実に習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、( 2 )、表現力等を育むとともに、主体的に学習に取り組む態度を養い、個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること。その際、児童[生徒]の発達の段階を考慮して、児童[生徒]の( 3 )など、学習の基盤をつくる活動を充実するとともに、家庭との連携を図りながら、児童の学習習慣が確立するよう配慮すること。(2) 道徳教育や( 4 )、多様な表現や鑑賞の活動等を通して、豊かな心や( 5 )の涵養を目指した教育の充実に努めること。解答 1:技能2:判断力  3:言語活動4:体験活動  5:創造性解説 以下に続く,「道徳教育の目標」についても押さえておこう。[  ]内は中学校の記述。学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)をとして学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はもとより、各教科、外国語活動[   ]、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、児童[生徒]の発達の段階を考慮して、適切な指導を行うこと。道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、自己の生き方[人間としての生き方]を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とすること。
2.次の学習指導要領に関する文章で、太字部分が正しいものには○を、そうでないものには×をつけなさい。
(1)各教科等の授業は、年35週(小学校第1学年については34週)以上にわたって行うよう計画し、週当たりの授業時数が児童の負担過重にならないようにするものとする。(2)障害のある児童などについては、家庭、地域及び医療や福祉、保健、労働等の業務を行う関係機関との連携を図り、長期的な視点で児童への教育的支援を行うために、個別の指導計画を作成し活用することに努めなければならない。(3)児童[生徒]のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し、学習したことの意義や価値を実感できるようにすること。また、各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して、学習の過程や成果を評価し、指導の改善や学習成果の向上を図り、資質・能力の育成に生かすようにすること。解答 (1)〇 (2)× (3)×解説 (2)指導計画ではなく「教育支援計画」である。(3)学習成果ではなく,「学習意欲」である。
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