わが国の教育現場における、教科書の地位はとても高いといえる。
教科書の発行に関する臨時措置法第2条で教科書の意義は、「小学校、中学校、高等学校、中等教育学校において、教育課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童又は生徒用図書であつて、文部科学大臣の検定を経たもの又は文部科学省が著作の名義を有するものをいう」とされている。
また、学校教育法第34条で「小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教育用図書を使用しなければならない」とされており、これは中学、高校にも準用される規定である。
つまり、学校は、“主たる教材を用いて学習させる"義務がある。しかし、このように法律で規定されている以上に、実際には教科書に重きがおかれているように見られる。「教科書を教える」「教科書で教える」という論争もよくある。
教科用図書検定は、民間で編集著作された教科書の内容が義務教育諸学校教科用図書検定基準に適合するかどうかを文科相(文科省)が検定する制度のことである。
検定は、「教育基本法に定める教育の目的、方針など並びに学校教育法に定めるその学校の目的及び教育の目標に基づき」行われるものであり、その主な狙いは、①学校教育の水準を維持向上させる②教育機会均等を保障する③適正な教育内容を維持する④教育の中立性を確保する――などである。