日々の教育活動に関する面接の質問にどう対応するか、連載第16回は、「学級の立て直し」を取り上げる。
あなたが担任をしている学級はまとまりがなく、子供たちが思うように動いてくれません。同学年の先生からも「君のクラスは騒がしいな」と言われてしまいました。2学期から学級の立て直しに取り組みたいと考えていますが、どのように取り組みますか。
「学級経営は最初が肝心」「初めの2週間、2カ月が勝負」「学級経営は最初の2カ月に手を抜いたら、後でしっぺ返しを食う」などとよく言われる。だから、新学期のはじめから学級経営案をしっかり作成し、学習ルールの確立に取り組み、教室環境を整備し、きちんと取り組んできたつもりではあるが、それでもうまくいかないことがあるのも学級経営である。
少々まとまりがないといっても、学級全体が崩れてしまったわけではない。また、学級のルールがいきなり崩れてしまうこともない。「前向きな子供」「まじめに学習したい子供」もそれなりにいるはずである。
これらの「前向きな子供たち」に、まずは担任の思いに目を向けさせたい。担任に従わず学級を混乱させる「不満の多い子供たち」の力が拡大すると、「前向きな子供たち」は諦めてしまう。こうなると、もう立て直しはできない。学級全体の掌握が無理なら、「前向きな子供たち」に焦点を当てて指導していきたい。
具体的には、班長会を活用するとよい。例えば、学級に6班あれば6人の班長がいる。この6人を少なくても月に1回、できれば週に1回程度放課後に集めて会議を開き、班長たちの本音を聞くようにする。「○○君の態度はひどいから、先生から注意してください」「こういう点はルールをつくったほうがいいと思う」などの意見が出される。このようにして自分の学級をアセスメント(診断)したい。課題が見つかったら、それに合わせた対応策を考え、解決に向けて努力していく。学級や学習のルールやマナー、こうしたものの再構築にトライするわけである。その際、注意したいことは「教師にもできないことを、子供たちにやらせない」ことである。「ここは先生が担当しよう。君たちはこういうことをしてほしい」と役割分担して協力することが成功につながる。
こうして、「前向きな子供たち」がしっかりすれば、「どちらでもない子供たち」に目当てを持たせることができて、気持ちを担任側に向かせることができる。また、リーダーは班長だけではない。給食、清掃など係活動などでも、リーダーを養成していきたい。
学級にまとまりがないと、保護者の気持ちも担任から離れがちになってしまう。何かトラブルがあると、担任のせいにされてしまうこともある。 学級を立て直すには、保護者の理解が不可欠である。そこで昔からある手法であるが、学級通信に注目したい。特に中学生になると子供は学校のことをあまり話さなくなる。学級通信を発行することにより、学級経営方針などを理解してもらい協力を得るようする。学級通信には、できるだけ学級の子供全員を取り上げ、褒めるようにする。子供にも、保護者にもいい情報を提供していけば、理解と協力が得やすい。
学級立て直しには、いろいろな手法が考えられる。体育祭、文化祭などの行事で集団としての成就感を味わわせるのもよいだろう。
大事なのは、若い学級担任1人だけで抱えこまないことだ。学年主任をはじめ、校長、副校長・教頭、そして普段から指導をしてもらっている先輩教師などに相談することである。
「学級には前向きな気持ちを持つ子供たちもいるはずです。班長会などを利用して、前向きな子供たちから本音を聞くとともに協力を仰ぎ、教師と役割分担して学級立て直しに取り組みます。また、学級通信で子供たちの学校での様子を伝えることにより、保護者の理解と協力を得るようにします。いろいろトライしようと思いますが、1人で抱え込まず、校長や先輩教師に相談して、よりよい取り組みとなるよう努力します」などが回答例となる。