【教育課程を学ぼう(2)】教育課程に関する法令

【教育課程を学ぼう(2)】教育課程に関する法令
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 国立教育政策研究所名誉所員・浦和大学特任教授 工藤文三
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法律と規則

 前回、各学校においては教育基本法などの法令や学習指導要領に示すところに従って教育課程を編成することを学んだ。各学校で編成する教育課程の狙いや各教科などをどのように取り扱うかという点の基準になっているのが学習指導要領である。学習指導要領は、文科省によって作成・公示されるが、学習指導要領を行政機関である文科省が公示することの法的な根拠はどのようになっているのであろうか。

 翻って国の行政機関が行政事務を遂行するためには、最終的に国会が定める法律に基づく必要がある。ただ、法律で細部にわたるルールを定めることは現実的ではないので、法律に基づいて内閣や各省庁が政令や規則を定めている。教育課程については、学校教育法→学校教育法施行規則→学習指導要領という順序でその根拠と関連が規定されている。

 学校教育法第33条:「小学校の教育課程に関する事項は、第29条及び第30条の規定に従い、文部科学大臣が定める」

 ここで第29・30条は学校種ごとの教育の目的と目標などを定めている。「文部科学大臣が定める」の部分で行政機関に委任していることが分かる。

 学校教育法施行規則第52条:「小学校の教育課程については、この節に定めるもののほか、教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する小学校学習指導要領によるものとする」

 ここでは、各学校が編成する教育課程は、学校教育法施行規則および学習指導要領によるべきことが分かる。また、学習指導要領は教育課程の基準であることが示されている。

 これらの関係を踏まえて、学習指導要領改訂の際には、この第52条に基づき学習指導要領を改正し、定める期日から施行することが告示されている。

法令で定める教育課程に関する事項

 法令に定める教育課程に関連する主な事項は次のとおりである。

 ▽教育基本法:教育の目的、教育の目標、義務教育の趣旨と目的、学校教育

 ▽学校教育法:義務教育の目標、学校種ごとの教育の目的、生涯にわたる学習の基盤としての学力、修業年限

 ▽学校教育法施行規則:学校種ごとの教科等の種類、各教科等・各学年の授業時数及び総授業時数、教育課程の基準によらないことができる特例、公立学校における休業日、私立学校における学期および休業日

 ▽学習指導要領:教育課程編成の原則、各教科等の目標、内容、指導計画の作成と内容の取り扱い

 このように教育課程の基準を国が定めることの意義は、全国的に一定の教育水準を確保し、全国どこの学校でも一定水準の教育を受ける機会を保障する点にある。各学校で編成する教育課程は、この基準を順守することが求められるが、一方で児童生徒や学校、地域の実態などを踏まえて一定の創意工夫が可能となっている。この意味で、学習指導要領は各学校で編成する教育課程の大綱的な基準としての性格を持つとされている。

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