【神谷正孝の教育時事2023(1)】来夏の試験で狙われる教育時事

【神谷正孝の教育時事2023(1)】来夏の試験で狙われる教育時事
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kei塾主任講師 神谷 正孝

 皆さん、こんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。今回からは来年の試験に向けた受験対策に入りたいと思います。初回の今回は、来夏の採用試験における出題が予測される教育時事の重要テーマについて紹介します。

◇ ◇ ◇

来夏試験の重要テーマ

 来夏の試験に向けて、重要なテーマの一つ目は、今夏に引き続き「令和の日本型学校教育答申」です。本答申で言われている「個別最適な学び」については、内容を理解している前提で問われています。また、ICTの活用や特別支援教育について述べられている部分は頻出です。後述する教育振興基本計画とも関連するので、特に第1部について確認しておきましょう。

 2つ目は、改訂作業が遅れていた「生徒指導提要」です。当初は今春にも改訂版の公開が見込まれていましたが、3月時点で継続審議となり、9月中に公開される見込みです(原稿執筆時点)。試験でよく出題される生徒指導提要ですが、これまでの出題をみると、語句の定義の穴埋めや、本文の空欄補充、本文から作成された選択肢の正誤判断などが多い出題の形式です。今回、語句の定義も見直され、本文の内容も大きく改訂されます。教職教養の学習時には常に手元に置きながら(電子版を開きながら)、教職教養の学習内容との関連を押さえるようにしましょう。

 3つ目は、第4期教育振興基本計画についてです。これまでのスケジュールを踏襲するのであれば、中教審の審議が終わり、答申が出るのは3~4月となります。計画自体は6月に閣議決定される見込みです。基本理念や現状の実情や課題について概要を把握しておくことは、2次試験の討論・面接・論文などにおいて、大いに役立つはずです。変更点を理解するためにも、それまでに第3期計画の概要は軽くさらっておきましょう。

上記以外の教育時事テーマ

 教育時事では、制度変更や新設に関わる教育法規の改正も重要なテーマです。最近の主な動きとして、教員免許更新制の廃止に伴う教育公務員特例法の改正、こども基本法の成立などの法律関連の動きがポイントです。また、特別支援教育支援員や医療的ケア看護職員、教員業務支援員などを法的に位置付ける学校教育法施行規則の改正や特別支援学校設置基準などの文科省令の改正関連についても昨年から引き続き重要事項です。

 なお、2022年度から高校でも実施が始まった「新学習指導要領」や「特別支援教育」なども重要テーマとなります。「子供理解・生徒指導」関連では、前述した生徒指導提要に関するものの他、不登校対応や不登校特例校、公立夜間中学の設置、子供の自殺予防、ブラック校則問題なども重要です。

 また、最近は一般時事と関連付けて幅広く問われることもありますので、「社会事情や社会情勢」に関する内容も理解しておくことが大切です。

教育時事の学習対策

 採用試験ですから、知識として知っていることはもちろん、それだけでなく「内容を理解した上で、自分の言葉で自分の関わり方を話す」ことが求められています。そのためには、(以前の連載でも触れましたが)教育ニュースなどについて情報収集を行うとともに、「テーマについて批評的に検討してみる」ことが大切です。発信される膨大な情報を、ただ「読み流す」だけでなく、気になる情報は、写真に撮ったり、スクリーンショットしたり、メモをしたりするなど、ストックしておき、時間のある時に考えを整理してみるようにしましょう。

1.「令和2年度文部科学白書」(文科省 2021年7月)に関する記述として適切なものは、次の 1~ 5 のうちのどれか。(東京都2023)

1 教師の負担軽減と生徒にとって望ましい持続可能な部活動の実現を両立するため、令和2年9月に取りまとめた「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」において、令和5年度から、休日の部活動を段階的に学校教育から切り離し、地域のスポーツ活動に移行することとしている。

2 教師の資質能力の向上において、教員免許状を得るための教職課程の在り方は大変重要であることから、平成29年11月に教育職員免許法施行規則を改正し、小学校教諭に係る外国語(英語)、ICTを活用した指導法、特別支援教育等について必修化・内容の充実化を図った。

3 真に教師としての適性を有する人材の確保の観点から、面接試験や実技試験の実施、様々な社会経験を適切に評価する特別の選考といった人物評価を重視する現在の選考から、学力試験の成績を重視する方向へ採用選考方法の改善を促している。

4 個別最適な学びと協働的な学びを実現するため、令和3年3月に義務標準法を改正し、公立小学校の学級編制の標準を40人から35人に引き下げ、令和3年度より5年かけて小学校第1学年から学年進行で計画的に整備することとした。

5 大学入学者選抜の改革においては、受験生の知識・技能だけではなく、思考力・判断力・表現力や、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度を多面的・総合的に評価していくことを目指しており、「大学入試センター試験」と「個別選抜」を通じて、受験生のこれら学力の3要素を適切に把握することとしている。

解答 2 

解説 令和4年実施の東京都採用試験からの抜粋である。1:「休日の部活動」に限定している点が誤り。3:「人物評価重視」の流れである。4:公立小学校の学級編成について,小学校1年生の35人学級はすでに実現している。5:「大学入試センター試験」は「共通テスト」になった。

2.「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」(中央教育審議会 令和3年1月)に関する記述として適切なものは、次の 1~ 5 のうちのどれか。(東京都2023)

1 「学習の個性化」は、基礎的・基本的な知識・技能等を確実に習得させ、思考力・判断力・表現力等や、自ら学習を調整しながら粘り強く学習に取り組む態度等を育成するため、支援が必要な子供により重点的な指導を行うことなど効果的な指導を実現することや、特性や学習進度等に応じ、指導方法・教材等の柔軟な提供・設定を行うこととされている。

2 「指導の個別化」は、基礎的・基本的な知識・技能等や情報活用能力等の学習の基盤となる資質・能力等を土台として、子供の興味・関心等に応じ、一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子供自身が学習が最適となるよう調整することとされている。

3  教科指導の専門性を持った教師によるきめ細かな指導を可能とする小学校低学年からの教科担任制の導入により、授業の質の向上を図り、児童一人一人の学習内容の理解度・定着度の向上と学びの高度化を図ることが重要である。

4  職業教育を主とする学科を置く高等学校においては、各設置者の判断により、学際的な学びに重点的に取り組む学科、地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科等を設置可能とする制度的措置が求められる。

5  これからの学校教育を支える基盤的なツールとして、ICTは必要不可欠なものであり、活用に当たっては、心身に及ぼす影響にも留意しつつ、日常的に活用できる環境を整え、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善に生かしていくことが重要である。

解答 5

解説 1・2:内容を逆にして捉えよう。3:小学校における教科担任制は高学年の「算数」「理科」「外国語」「体育」の4教科である。4:「職業教育」ではなく「普通科」である。

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