来夏の教採試験受験に向けて論作文に取り組んでいるだろうか。論作文は書き慣れることが重要なので、できるだけ多く日々練習することが求められる。ここでは、教職へのやる気と熱意を表現し、他と差を付ける論作文にするにはどうしたらよいか、そのポイントを数回にわたり紹介する。
論作文は、教員としての適性を判断する方法として用いられていることが多い。文章を書かせると、その人がどのような知識があり、どういう判断力を持ち、どういう表現力を持っているかをうかがい知れるからである。そこで、何よりも自分自身の考え方・意見の主張などをしっかりと伝えられるかどうか、ということが重要となる。
試験において執筆する際の主なポイントは次の通りである。
①狙いや根拠を述べている。
②自分の考え、主張が明確にまとめられている。
③開始と同時に時間配分を考える。
④その時間配分を基に柱立てをする。
⑤一文が長文にならないようにし、かつ文体を統一する。
⑥指定された字数を守る。
⑦下書きは原則として書かない。また、大幅な書き直しはしない。
また、文章をきれいに書く、分かりやすく書くためには文章記号を的確に使うことが求められる。「気を付けたい主な文章記号」をまとめておいたので参考されたい(表)。
[参考]気を付けたい主な文章記号
。 句点 文の終わりを示す。
、 読点 文の途中の区切りを示す。
, コンマ 欧文の読点。数字の区切れに用いる。
・ 中黒(なかてん) 同種の名詞の並列の区切れに用いる。
「 」 かぎかっこ 会話や引用などに用いる。
『 』 二重かぎかっこ 書名などの引用に用いる。
( ) パーレン(かっこ) 補足的な説明や注記に用いる。
ハイフン 主に外国語のつなぎに用いる。
~ 波形 感覚や省略を表すのに用いる。
_ 下線 語や句を強調するのに用いる。
… 点線 無言の状態や省略などを表す。
※ こめ印 注意事項などを表すのに用いる。
々 繰り返し符号 漢字の繰り返しに用いる。
採点官経験者から、論文を読んでいて時折「このような内容を求めているのではない。受験者の考えや思いを聞いているのだ」と思わざるを得ないものに出合うことがある、とよく聞く。
例えば、「探究学習の重要性が言われています。このことについてあなたは、どのように受け止め、教員となったときどのような指導を工夫しますか」と問われたら、探究学習の重要性そのものについては、基本的には論述する必要はない。
ましてや「探究学習とは、児童や生徒が自分で課題を設定し、その解決に向けて情報を集め、整理や分析をしながら、独自の答えを探す学習活動…」などと用語などの説明をするようなことは必要ないのである。
大切なのは、探究学習の「重要性について、あなたはどう捉えていますか」ということだ。論述する際、探究学習そのものについて触れたい場合も出てくるかもしれないが、その場合でも長々と説明するのではなく、できるだけ簡潔に表現した方がよい。課題によって、「あなたはどう理解していますか」のように受験者の理解度をみようとするようなケースもあるが、その際は、的確に、簡潔に、説明的に論述するとよいだろう。
課題に正対すること、何を求められているかについて的確に捉えることが重要である。採点官は、探究学習とはどのようなことであるかについては、内容に精通していると考えた方がよい。