【教育課程を学ぼう(7)】主体的・対話的で深い学びの実現

【教育課程を学ぼう(7)】主体的・対話的で深い学びの実現
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 国立教育政策研究所名誉所員・浦和大学特任教授 工藤文三
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主体的・対話的で深い学びとは

 2017・18年告示の学習指導要領の特色に、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善が挙げられる。教員採用試験では、この学びをどのように捉えるか、また、その実現に向けた授業の工夫について具体的に答えるといった問いが想定される。学習指導要領の総則には4カ所、また各教科などの「指導計画の作成と内容の取扱い」の冒頭にもそれぞれ学習の充実を図ることが示されている。

 この学びの実現に向けた授業改善の具体的な内容については、学習指導要領解説総則編に中教審答申の説明を引用する形で示している。主体的な学びについては、「自己のキャリア形成の方向性」との関連、「見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる」学習であること。対話的な学びについては、「子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める」学習であること。深い学びについては、「各教科等の特質に応じた『見方・考え方』を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう」学習であるとしている。

 特に深い学びについて、各教科などの特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら深い理解や思考力、判断力、表現力などを豊かにしていくことの必要を述べている。

 また、主体的・対話的で深い学びに向けた授業改善は、一単位時間ではなく、単元や題材などの内容や時間のまとまりの中で進めることが明記されている。

どのような授業改善が必要か

 総則の解説では、この学びの実現に向けた授業は「全く異なる指導方法」を求めるものではなく、学びの視点は「各教科等における優れた授業改善等の取組に共通し、かつ普遍的な要素」であるとしている。

 具体的な授業改善の工夫としては、各教科などの「指導計画の作成と内容の取扱い」に記された学習を単元レベルで行えるようにする。小学校国語については、「言葉による見方・考え方を働かせ、言語活動を通して、言葉の特徴や使い方などを理解し自分の思いや考えを深める学習の充実を図ること」とされている。小学校社会については、「問題解決への見通しをもつこと、社会的事象の見方・考え方を働かせ、事象の特色や意味などを考え概念などに関する知識を獲得すること」「学習の問題を追究・解決する活動」の充実を図るとされている。

 各教科などに共通するのは各教科などの特質に応じた「見方・考え方」を習得・活用・探究の学習の過程で働かせることを通して、深い学びにつなげるとしている点である。

 「見方・考え方を働かせる」とは、対象を把握したり説明したりする際に、各教科などのアプローチから捉え、また各教科などの学びの中で培われる考え方や方法などを用いることを指している。

 授業構成において、「見方・考え方」を働かせる場面の設定を工夫することが、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた重要な要素であることが分かる。

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