【面接の○回答×回答(187)】人命尊重の教育を進めるために

【面接の○回答×回答(187)】人命尊重の教育を進めるために
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問い

報道などを見聞きすると、最近はどうも人命軽視の風潮があるように感じます。登校から下校まで児童生徒はほとんど学校で過ごします。人命尊重という視点から学校を論じていただけますか。

〇回答

教育が目指すところは、人間が人間として人間らしく生きられるようにすることにあります。自他の生命を尊重した安全教育が求められるゆえんです。私は、学校教育に関わる者は「安全なくして教育はない」という、不変ともいうべき信念を持たなくてはならない、と考えます。常に児童生徒の安全を保障して豊かでたくましい成長を願い、事故防止に努める教師になる覚悟です。本来、学校は安全で、事故や事件とは無縁と思われていました。しかし、現実では多くの事故や事件の事例が報告されています。多くの学校では、年度末に事例分析をして新年度の安全計画を立てることと存じます。職種に関わらず全教職員で安全な学校教育に臨み、学級担任から学年会、生活指導部会、学校保健委員会と重層的に努め、何か見落としや見逃しのないように取り組んでいくことが必要です。

【コメント】

学校教育の目的や狙い安全教育の関わりがしっかりと押さえられています。生命尊重、安全教育で「安全なくして教育はない」という信念を貫こうという覚悟がうかがえます。重層的な対応もしっかりと示されています。

×回答

人命軽視の風潮はどうして生まれたのでしょうか。テレビやネット社会の影響が大きいという見方があります。コロナ禍で生活形態が変化したためではないかという人もいるようです。私は年配者の教えを軽んじてきた結果ではないかと考えます。善悪の判断など自ら考えることが大事であるなどとしてあいまいにしてきたことがマイナスに作用した結果ではないでしょうか。さらに規範意識やモラルの低下、個人主義の台頭、価値観の多様化など、これらが混在して起きた結果ではないかとも考えられるでしょう。従って、先人が築き上げてきた社会生活を営む上でのルールの教育とその徹底に関する評価を高めていく必要があるということが私の提案です。教職に就いたら年度末は多忙ではありますが、年間の取り組みなどを振り返り、人命尊重の教育の在り方を考えていきたいです。

【コメント】

人命軽視の風潮について、ネット社会やコロナ禍の影響、価値観の多様化など状況はしっかりと捉えられています。社会生活を営むルールの徹底など必要な考えは示されています。ただ、これらのことを学校全体、全教職員で取り組む姿勢の重要性が打ち出されているとより説得力のある意見になったと考えます。その点が惜しい回答です。

元東京都公立学校長・宮澤義一

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