あなたは「考える力を付ける発問」を作るためにどんな工夫をしますか。
私は、教科を決めて学習内容に関わる子供の既習経験や問題意識を探り、その実態を踏まえて教材を吟味します。教材の提示の仕方と思考活動を活発にする発問内容を考えます。こうして指導案を作成して授業に臨み「考える力を付ける」発問の質を高めていきます。
まず、子供が対象に働き掛け、新たな発見ができるような場面を工夫します。教師が「○○○について考えなさい」と言うのではなく、子供自身が違いに気付いたり、分類したり、比較したりするような手だてや考え場面設定を工夫します。次に、発問に用いる言葉を、子供の発達段階などを考慮して十分吟味します。特に発問の意図に直結するキーワードを、子供がどのように受け止めるかをあらかじめ見通し、反応の予想を書き出して、発問と予想される反応を書き出します。
子供に思考力を獲得させる発問の工夫を教材の吟味や活動場面の設定と合わせて述べている点が評価できます。この他にも、効果的な板書、思考の焦点化や拡散化、問いから答えまでの適切な活動の介在など、工夫の視点は多く上げることができます。自分の強調したい視点を2~3点に絞って、取り上げた視点の意味付けまでできるようにすると説得力のある回答になります。
「皆さん」と呼び掛けて注意を引き付け、子供に分かりやすい言葉で問い掛けます。また、子供の回答や反応を予想して発問を工夫します。さらに、狙いに沿った子供らしい考えは板書します。褒めて考える活動を促せるようにします。「一問一答」型の授業にならないように一部の反応の速い子だけでなく、その子の得意な表現で回答できる発問を工夫します。
この回答は周辺をなでていて核心に迫れていない例です。もっと本問に正対しなくてはなりません。「考える力を付ける発問」の工夫に絞って答えるのです。それには教材を決めて、「教えたいもの」を「学びたいもの」に転化させる活動の作り方を考えるのです。子供の探究活動の方向付けや刺激の仕方を考えるのが発問の工夫です。
元東京都公立学校長・塚田亮