年が明け、今夏の試験まであと半年、本格的な試験対策を進めなくてはならない時期となった。ここでは、面接を取り上げ、概要と準備などを紹介する。
教員採用試験では近年、面接試験重視の傾向がある。エントリーシートや論作文などからうかがい知れぬ応答の仕方や表現・態度、そして表情などから人柄や教員としての資質を評価し、合格かどうかを判断する。
近年、急速にあらゆる分野で、ICT化、グローバル化などに対応すべく改革が進められている。学校教育においても、これらに対応した教育観、学力観に基づき、教育内容のみならず学校の在り方にも変革が求められている。さらに、保護者や地域からの学校への期待は多様なものとなっている。教員に対しても新しい資質や力量が求められている。
複雑・多様化する現代において、子供たちを育てる教員には、次のようなことが求められていることを念頭に置きたい。
・求められる明確な目標を持ち、実現に向けて努力を惜しまない推進力
・教育に関する深い認識と情報収集力・発信力
・新しい課題への対応力(迅速で正確な判断力・行動力)
面接、論作文の作成、エントリーシートなどの提出文書類全てに関して、自分の考えや発想の起点、立ち位置を明確に押さえ、日々を過ごすことが重要だ。教員を目指すには教員の立場で思考し、発想しなくてはならない。教員としての力と自覚を付けるためである。
志望動機、教員として何がしたいのかを心情だけでなく、明確なものとしたい。そして、優れた教員となるための自己の課題を明らかにして、克服のために努力を重ねることが必要だ。大事なのは、試験合格のための学習とともに、教員としての力を身に付ける努力が日々の生活に求められることである。
▽人間性に関すること
(1)将来の夢や抱負、志望動機はしっかりしているか
(2)円満な人格や責任感を備えているか
(3)論理性、的確な判断力、行動力があるか
(4)前向きで改善的な態度であるか
▽教育に関する理念・識見に関すること
(1)教育への強い使命感を持つ人物か
(2)教育観、教師観、児童生徒観、学力観はしっかりしているか
(3)授業をつくる力があるか
(4)教科教育や生徒指導などの知識・技能を備えているか
▽学校組織における管理・運営能力に関すること
(1)法的な知識は十分か
(2)組織としての成長への方策を考えているか
(3)目標達成への推進力、行動力はあるか
(4)児童生徒の安全管理や危機管理、不測の事態への対応力があるか
(5)家庭、地域との連携に関する知識・方法を持っているか
(6)関係機関との連携を適切に行えるか
(7)事務・会計処理および指導能力があるか
▽変化・課題への対応力に関すること
(1)情報収集能力は優れているか
(2)新しい教育課題などへの対応・解決力があるか
(3)人間関係処理能力、コミュニケーション能力が十分に備わっているか
主に次のような点に留意することが求められる。
▽質問の狙いや何を求めているかを理解する
(1)ある事柄について解釈や説明を求めているのか
(2)受け止め、考えを求めているのか
(3)取り組みについての具体的方法を求めているのか
▽答えるに当たって
(1)受付、待機の状態から開始と心掛ける
(2)面接官の目を見てあいさつ、返事をする
(3)言語明瞭に答える。早口に気を付ける
(4)教員の立場で考えや主張を明確に答える
(5)応答は長くならず、短く、分かりやすく
(6)答えられない質問には、素直に「勉強不足」を伝える
教採試験には、筆記、論作文とともに面接は必ずある。人柄、表現、応答などから適格性を判断する。日頃から話の聞き方、話し方などに気を配り、どのように受け答えすればいいのか、また積極的に自己アピールできるように準備したいものである。
教育情報(今、何が喫緊の教育的課題なのか)、教育法規(教育基本法、学校教育法をはじめ、最近の児童生徒の健康診断に関わる学校保健安全施行規則の一部改正等)について十分理解しておくことがまず必要である。何を聞かれても対応できるという自信を持ちたい。
人とコミュニケーションを図るとき、相手が何を求めているかを瞬時に判断しなければならない。的外れな答え方は避ける。そのためには、意識的に日頃からどのように答えればよいか、的確に核心を付く答え方を習慣付けたい。
▽面接会場の下見をする。当日交通渋滞や事故なども考えられるので自家用車は避け、公共交通機関を利用し、あらかじめ下見し、余裕をもって会場に着けるよう心掛ける。
服装、表情、態度などから受ける印象は異なる。教員としての信頼感、清潔感を面接官に印象付けることはとても大切である。表情、態度も自己アピールである。落ち着いて受け答えする姿は教員としての資質が見えてくる。
面接を待つ時間ほど緊張し、どきどきする時間はない。深呼吸し、心を落ち着かせて集中して臨むとよい。
▽面接時にその人の癖が出ることがある。手の置き方、足の組み方、表情などには十分注意する。癖は目につくもので、面接官によい印象を与えない。
▽エントリーシートに記した内容について質問してくる場合が多い。「子供たちに寄り添うと書かれていますが、具体的にはどのようなことをするのですか」などである。志願書の書き方にも注意が必要だ。質問には的確で簡潔に答える。面接は話し言葉で自分をアピールすることでもある。
面接官から再質問されることが多い。「どこに書いてありますか」「その法的根拠は何ですか」などである。
教員採用の面接であるならば、「教員長としてこのように考え、行動する」という強い姿勢を示すことがアピールにつながる。
長い答えはよい印象をもたれない。結論を言ってからその訳を話すとか、例えば「2つあります」と言ってから、「1つは何々です、もう1つは何々です」という言い方がよい。
全く分からない質問に対しては、あいまいな答えではなく「分かりません。これから勉強します」と素直に答えた方が好感がもたれる。
教育者として、人としての性格や人柄など人間性である。教育に対する情熱、教育愛などを面接を通してつかもうとする。
冷静な判断力、指導力、実行力を測ろうとする。学校ではいつ事故、事件が起こるか分からない。大規模災害なども予想されている。未然予防や発生時などには教員の危機対処能力(把握、判断、決断、行動)が問われるのである。
丁寧な言葉遣いや表情、態度から、地域の人、保護者、教職員から柔軟な対応力がある教員であると信頼されているかが分かる。
面接を通して、この人物はよく話を聞く人か、じっくりと考えて答える人か、などがよく分かるという。面接を他人から評価される試験と考えるのではなく、自分の教育に対する思いや情熱のアピールの場であると考えたい。発言には、明朗、明瞭、簡潔、そして謙虚さを心掛けるとよい。言葉や表情、態度から人格はにじみ出てくることを心しておく。