【困った保護者とどう向き合うか(3)】保護者による苦情・要望にはどんなタイプがあるか

【困った保護者とどう向き合うか(3)】保護者による苦情・要望にはどんなタイプがあるか
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 保護者による苦情・要望は、幾つかのタイプに分類できる。図中の縦軸は学校として「対応はできる-対応が難しい」を表し、横軸はその申し出が「もっとも-おかしい」を表す。この両軸を交差させると、①正当型(例:わが子にいじめ・暴力をし続ける子を指導してほしい)、②学校依存型(例:親の言うことを聞かないわが子を学校で指導してほしい)、③無理難題型(例:仲の良くない子と同じクラスになったので、クラス替えをしてほしい)、④同情型(例:卒業アルバムにわが子のスナップ写真がないので、作り直してほしい)の4タイプに分類できる。

保護者による苦情・要望の4分類
保護者による苦情・要望の4分類

 筆者らによる調査では、それぞれの苦情・要望を「当然」と回答した保護者の割合(肯定率)は、正当型90.8%、学校依存型14.3%、無理難題型10.5%、同情型21.7%であった。第1象限(右上)の正当型の肯定率が最も高く、学校管理下でいじめなどを受けている場合、学校にその解決を求めるのは当然だとほとんどの保護者が認識している。

 第2象限(左上)の学校依存型の場合、「言うことを聞かせる」は学校でできなくはないが、本来は親である保護者がしつけるべきことである。したがって、多くの保護者がこれを当然とは認識していない結果となった。

 第3象限(左下)の無理難題型のクラス替え要求は、学校を困らせるだけである。この要求を認めてしまうと、他の保護者から同様の要望がなされる度に、クラス替えを繰り返す羽目になる。この申し出については、さすがに多くの保護者が当然とは認識していない。

 第4象限(右下)の同情型はどうか。スナップ写真がないのは気の毒で同情の余地があるが、アルバムの作り直しともなると、相当の費用を要するから対応は難しい。そうしたこともあって、肯定率は20%台と若干高くなっている。

 こうしたデータから、多くの保護者は各苦情・要望の内容に対して良識的な見解を持っていると言えよう。ただ、気になるのは、「学校依存型」と「無理難題型」に対して当然視する保護者が1割以上存在することだ。こうした保護者は、学校を困らせる可能性が高い。

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