正解がないものをテーマにブレストをする場合、「拡散」と「収束」を分けて行います。広がった話を、一つの意見として集約し、まとめていく話し合い。慣れていないと難しく感じるものです。
まとめる話し合いがうまくいかない生徒には、幾つかの傾向があります。
◎“良い答え”にしなければと考えてしまう。そして、面白味のない無難な意見に落ち着いてしまう。
◎まとめるとは、“すべてを網羅すること”だと考えてしまう。
◎テストのように、幾つかの選択肢の中から“一つ選ぶこと”だけを目指してしまう。
これらの課題を解決するため、私は収束の話し合いに入る前、生徒たちに次のアドバイスを送ります。
①「正解はない」。今行っている話し合いには、正解がないことをあらためて伝えます。
どんな意見にまとまっても、間違いはないし、批判もされない。無難であることよりも、新しさや独自性のようなことを大切にしてほしい、そんなことを生徒たちに話します。
②「絞ること」。まとめるとは、すべての意見を盛り込むことではなく、考えを絞ることだと伝えます。たくさん出された意見の中から、どの意見に焦点を当てるのか。それを、話し合いを通して決めていくのです。
絞る時に大切にしてほしいのは、心が強く動いたかどうかです。笑いや気付き、発見がある意見は、心が動いた意見となるでしょう。そのような意見を大切にしながら、チームとしての意見を絞り込んでほしいと話します。
③「意見の“かけあわせ”を大切に」。収束の話し合いは、正解らしきものを一つ選んで終わりではありません。焦点を当てる考えを絞ることができたら、その考えをベースとしながら、「さらに良いものにできないか」という視点を持ってほしいと伝えます。
選ばれなかった意見や考えに、そのヒントがあります。話し合いながら、複数の意見を合体させたり、異なる意見との折衷案を見つけたりすることにチャレンジするようアドバイスを送ります。
このようなことを共有した後に、収束の話し合いがスタートします。
もし、収束の話し合いの後に各チームの発表を行うなら、1チームごとの持ち時間を伝えます。30秒から1分くらいが目安です。また、発表の際、特に何について話をしてほしいのか、ポイントを伝えます。そうすることで、発表時の生徒からの話が分かりやすくなります。
収束の話し合いは、時間を長く確保すればうまくいくというものではありません。私はいつも、10分程度を目安にしています。
この収束の話し合いも、慣れとともにコツをつかみ、質が向上していきます。