【世界の学校、世界の潮流(3)】「民主主義」を教える使命

【世界の学校、世界の潮流(3)】「民主主義」を教える使命
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スウェーデンではナショナルカリキュラムの中に「民主主義を教えるという使命」が盛り込まれています。項目としては次のようなことが書かれています。

  • 全ての人に平等に価値があること
  • 社会的連帯
  • 自分とは異なる他者を理解できる力
  • 多面的な物の見方/研究で証明されたものを教えること
  • 民主的な方法で物事を進めていくことができる力を付けること
  • 影響力を持つということ
  • グループへの貢献 等

これらは各教科においても明確に位置付けられています。例えばこんな感じです。

  • 生徒は授業で自分の意見を伝えること
  • 倫理的な問題や今社会にある問題についての知識を教えなければならない
  • 生徒は教えられた内容について批判的に検討できる必要がある 等

 このように、スウェーデンの学校は、社会において民主主義の価値が実現・維持されていくために、一人一人の生徒がそれを実現できるスキルや力量を高めていくことができる環境づくりや働き掛けをするという使命を持っているのです。

 高校の英語のスピーキングの授業を見学した時の課題を一例として紹介します。「ストレス」がテーマで、生徒たちが自分のストレス源やストレス発散法について話した後、最後のペアトークのテーマが次のように示されました。

【問】ストレスは個人だけの問題ではありません。社会は手助けするために何ができますか?学校は/雇用主は/政府は、何ができますか?

 こういう例題の一つ一つの設問に、どんな学校、どんな会社、どんな社会が良いか、考える要素が含まれていたりするわけです。

 また、社会科のクラスではフェイクニュースやフィルターバブルの話をしていました。自然科学系コースの生徒は、気候変動について一番多く時間が割かれていました。まさに「今社会にある問題」を扱う。これはスウェーデンのみならず、多くの国の社会科教育においてメジャーな流れになりつつあります。環境活動家として注目されているグレタさんのような若者も、そんな学校教育を通じて輩出されていると言えるでしょう。

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