当初、ドリル宿題廃止は、校長2年目となる2020年度になってからにしようと考えていました。というのも、昨年度は新任校長として本校に赴任したばかりで、校長としての業務に追われる日々の中、まずは学校の実態をじっくり見てからにしようと思っていたからです。
放課後の職員室を見ていると、担任たちは子供から預かった宿題の採点チェックに追われていました。これまで私が見てきた風景と全く同じでした。どの教員も、責任感を持って丁寧に間違いを直していました。どうしても終わらないときは、大きなカゴにノートをたっぷりと入れて、自宅に持ち帰る先生もいます。「真夜中までかかっちゃいまいした」と若い女性教員が話していたこともありました。
そんな中、本校マーチングバンド部(全国的にも有名です)の大会引率で神奈川に行ったとき、宿で同室になった若手の男性教員らとじっくりと話をする中で、「今すぐにでもドリル宿題を改善しないと、みんなが倒れてしまう」という思いを抱くようになりました。その時、同室だった教員の人たちには、気付かせてくれたことに本当に感謝しています。
学校に戻ってから、まず運営委員会で「ドリル宿題を廃止する」という私の考えを学年主任の教員に伝えました。そして、何とか全員から了解を取り付けることができました。「校長の言い出したことだから協力しよう」ということもあったと思います。
私からは、「保護者への説明は、近々行われる学級懇談会の場で、各担任から行ってはどうか」と提案をしました。これは最終的に、私が全保護者に一斉にプレゼンした方が誤解がないということに落ち着きました。
そして、全保護者への説明は、2019年11月22日に行いました。授業参観と学級懇談の間に約10分間のスキマ時間をつくり、保護者の方々に体育館に来ていただき、「家庭学習のあり方について」というプレゼンをしました。来校された保護者の方は、ほぼ全員が体育館に来てくれたようです。私の話をうなずきながら熱心に聞いてくれる姿がとても印象に残りました。
その後、学級懇談会では、各担任から「いしかわスタイル家庭学習」(ドリル宿題を廃止した後の児童主体の家庭学習をこう呼ぶことにしました)についての説明を行いました。いよいよ、次の月曜日から「自学」の始まりです。