今回から2回にわたり、フリースクールに通う不登校生徒が全日制高校に進学するにあたって直面する5つの課題について述べていきます。レイパスでの実例をベースに、現実的な連携を模索する一助になればと思います。
最初に、内申点の付け方を確認しておきます。内申点の付け方は、大きく授業への出席関連(小テスト・実技・発表回数)、提出物、定期テストの3つで決まってくると思います。公立高校では内申点が合否を大きく左右しますし、私立高校でも内申点が考慮される場合があります。
レイパスに通っている子の事例ですが、提出物を小まめに提出し、定期テストで100点近い点数を取った教科でも、内申点で5が付くことはありません。学校からは、「出席関連の評価の割合が高いため」だと聞いています。その結果、学力が学校に通う生徒と同等だとしても、内申点には大きな差が出ています。主要5教科以外の教科はさらに顕著です。
全日制公立高校は、内申点が合否を大きく左右します。そのため、学校に行っていない生徒が自分の学力に見合った全日制公立高校に進学することは、極めて難しいと言えます。
提出物や定期テストにきちんと対応していくには、学校の学習進度に追い付いておく必要があります。そして、追い付くためには実際にどこを授業しているのかを把握する必要があります。
しかし、学校からは年間の学習計画や実際の進度をなかなか教えてもらえません。テスト範囲が発表されて、ようやくその学期の学習範囲を知ることができる状況です。
レイパスではできる限り学習進度を把握するため、教科書出版社が作成している指導計画案をベースに予測し、学習スケジュールを立てています。しかし、実際の学校の進度とはズレがあります。
定期テストについては、そもそも学校で受けないと成績に反映されないケースがほとんどです。頑張ってテストを受けに学校へ行く生徒もいますが、「テストの日は学校へ行くのか…」とテスト前から緊張します。また、慣れない登校の疲れなどもあり、他の生徒に比べると厳しい環境にあります。課題②で述べたように、テスト範囲が発表されて初めて学習進度が分かるので、直前過ぎて学習が間に合わないような場合もあります。
次回、残りの2つの課題である④授業前提のテスト内容⑤進路についての情報不足――について述べます。