キャリア教育を実施する上で重要なことは、さまざまな団体や家庭と協働しながら進めていくことです。教員だけでキャリア教育を推進するとなると、困難なこともあります。
本校にはキャリア教育に関心があり、協力しようという意識のある保護者がいます。父親が中心になって結成された団体「Team Papa」からは、「ぜひ協力をさせてほしい」という企画書を出していただけるほど、キャリア教育に熱心です。
これまで、保護者の方々とさまざまな取り組みを推進してきました。その中で、今年度から始めた保護者との取り組み事例を紹介します。本校ではこれまでも、高校1年生を対象にキャリアについて考える合宿を行ってきました。以前はとある企業にご協力いただきながら合宿を運営していたのですが、今年度から「Team Papa」の中心メンバーに協力してもらう形で合宿の内容を刷新しました。名称もそれまでの「高校オリエンテーション合宿」から「Career Training Camp」に変更しました。略して「CTC」です。このキャンプでは、生徒たちがさまざまな分野のプロフェッショナルとのセッションを通して、将来のキャリアビジョンを検討します。
プログラムの一つ「キャリア座談会」は、社会で活躍する社会人の話を聞き、キャリアについての知識を深めることを目的にしたものです。講師を募集したところ、多くの保護者に協力をいただき、2日間35人の講師陣でプログラムを組むことができました。1回目の募集をかけた段階では職種や性別・年代にばらつきがあったので、「Team Papa」のネットワークを駆使して協力を要請したり、学校から再度募集をかけたりすることで、協力してくれる人が集まりました。
「CTC」の中で最も重要なプログラムは、「PBL型ワークショップ」です。身近なビジネスを題材に「〇〇をプロデュースする」というテーマで実施します。ワークショップの実施に向けて、担当教員と保護者の間で何度もオンラインで打ち合わせを行いました。Zoomによるオンライン会議の普及により、忙しい保護者の方とも打ち合わせをできるようになったことは、合宿の実現にとって大きなことでした。
今は予測不能なVUCA時代です。保護者の中にも、自身が中高生だった20世紀とは時代が大きく変化していることを理解し、キャリア教育に協力をしたいと思う方が数多くいます。そうした保護者の声に耳を傾け、協力して、キャリア教育を推進していく必要があると考えています。