いじめは子どもたちの命や尊厳に関わる問題であり、教育行政において最重要課題と位置付けられています。そして、いじめはいつどこでも起こり得るとも言われています。しかし、実際にいじめは大人たちの目につきにくいところで起きることが多いため、早期発見をするのはとても難しいものがあります。被害児童生徒が不登校となった後に相談を受け、いじめがあったことを知るケースも少なくありません。
問題の重大化を防ぐ上で早期発見に努めることも大事ですが、何より日頃から防止対策を講じることが重要です。当事者となる子どもたちに対しては、いじめを正しく理解させるために、「いじめはいけないこと」と教えるだけではなく、時には子どもたち自身に考えさせることも大事です。
例えば、いじめについての授業をするときは、一つの班の子どもたちが先生役となり、他の子どもたちに教えるなどの方法があります。人に教えるとなれば、子どもたちはいろいろなことを自分で調べたり考えたりしながら学ぶことができます。
いじめをゼロにするのは現実的に難しく感じますが、いじめが起きない環境づくりなど、環境を変えることは可能ではないでしょうか。やはり子どもたちが多く集まる場ではいじめが発生しやすいので、子どもたちが大勢集まる場所や行事などの際は、特に注意が必要となります。このように、状況に応じた防止対策を検討することも大切です。
未然防止や早期発見を確実に行うならば、まずは当事者である子どもたちが「いじめとは何か」「なぜいじめはいけないことなのか」を正しく理解し、いじめが発生した場合は先生が守り寄り添うと伝えることが重要です。そうしたことを日頃から子どもたちに伝えていれば、被害に遭った子どもや、その周りにいる子どもたちも先生を信頼し、安心して相談してくれるのではないかと思います。
未然防止や早期発見は、学校だけが行うものではありません。子どもを誰よりも理解し、そばにいるのは保護者ですから、各家庭においても子どもの変化に気付くことや、親子間でコミュニケーションを取ることが大事です。その上で学校は保護者が連携し、情報共有ができるよう、保護者の協力が必要だということを日頃から伝えておくことが重要だと思います。