【対話型ワークショップ(6)】《ワークショップデザイン編》ワークショップデザイン[知る活動:インプット]

【対話型ワークショップ(6)】《ワークショップデザイン編》ワークショップデザイン[知る活動:インプット]
【協賛企画】
広 告

 「会議での話がなぜかかみ合わない」

 こんな状況を経験した人も多いはずです。今回取り上げる「知る活動」が、そんな悩みを解決するかもしれません。

 知る活動の目的は、ワークショップの目的の共有と次の創る活動への足場掛け(Scaffolding)です。知る活動で、ファシリテーターの意図を的確にインプットすることで、その後の創る活動の質が大きく変化します。

 まず、授業づくりと同じように、この時間の目的や目標を共有します。この目的や目標を正確に整理して伝えることがポイントです。ワークショップのタイトルや端的なキャッチフレーズとして提示できれば、なおよい共有となります。例えば、第9回で紹介する教員像を共有するワークショップは、「教師に求められる力って?即興演劇551ワークショップ」と題して行いました。このようにワークショップで何が行われるのかが明確になっていれば、参加者の集中を阻害せずに場に参加してもらえます。

 異なるアプローチとして、目的を「問い」として提示するという方法もあります。この問いづくりは、ファシリテーターが目的を整理する際にも学びとなります。先ほどの例で言えば、「目指す生徒像に近づけるために、私たち教員に求められる力ってなんだろう?」や「『教師ってこうあるべき』を再定義してみませんか?」といった形です。こうすることで参加者の記憶に問いとして残り、創る活動の意図が明確になっていきます。

 次に行うのが足場掛けです。足場掛けとは教育用語ですが、参加者が創る活動に主体的に集中して取り組めるように必要な知識を伝達したり、補助的に助言したりすることを指します。ここでの学びが、創る活動でのワークの思考とつながっていることが必要です。ファシリテーターが、目標としている学びや方向性を参加者と共有し、思考の方向を整えるといったイメージです。例えば、先ほどの例では、未来で求められる力や社会の状況を提示したり、教育目標からバックキャスティングした際の「今」求められる教師像などを共有したりします。

 また、より効果的な知識伝達の方法は、権威のある資料を準備することです。公的な文章やアカデミックな文献が述べていることであれば、教員の納得感は得られやすい印象があります。ファシリテーターのタイプにもよりますが、ファシリテーターの意見としてではなく、場の目的を権威ある資料から伝えることが、場の納得感へとつながっていきます。

 次回は、参加者を自然とワークショップの場に適応させるための導入を考えていきましょう。

広 告
広 告