【対話型ワークショップ(10)】《ワークショップデザイン編》具体例③ 職員室開きWS

【対話型ワークショップ(10)】《ワークショップデザイン編》具体例③ 職員室開きWS
【協賛企画】
広 告

 4月1日、誰しもが不安と緊張の中で迎える年度はじめの日に、皆さんの学校ではどのような時間を持っていますでしょうか。多くの学校では、会議に追われる1日となっているのではないでしょうか。今回は、年度はじめにぜひお勧めしたいワークショップを紹介します。

 今回、提案するのはチームビルディングのワークショップです。考えてみれば当たり前のことですが、どんな会議を行うにしても目的が共有されていなければ、何を考え、どう関わればよいかが分かりません。まして転勤してきた方にとっては、人間関係も分からない状態です。そうした中で、突如決めなければならないことを押し付けられる状況は、非常に不安でしょう。

 このワークショップでは、同じ職場で同じ子どもたちとの学びを少なくとも1年間は共創するメンバーとチームになるためのワークを行います。知る活動では、学校の教育目標や昨年度までの特徴的な取り組み、生み出してきた学びなど、新転任の方へ共有すべき勤務校の勘所をダイジェスト的に伝えるのがよいでしょう。その後、メインのワークに入ります。チームビルディングにはさまざまな手法がありますが、有名なブラインドスクエア(目隠し図形)をご紹介します。

 ブラインドスクエアとは、まず学年団などの5~6人ほどのグループに分かれ円になります。そして、目隠しした状態で全員がロープを持ち、お題となる図形を作るというシンプルなワークです。

 シンプルながらかなりパワーのあるワークですが、結果的に図形が出来上がるかどうかが目的ではなく、ワーク中のコミュニケーションを振り返ることが目的です。人間は視覚からかなりの情報を得ています。それが遮断された状況で、ほとんど見ず知らずのメンバーと協働します。その状況を想像してみると、自己が非常に色濃く出ることが容易に理解できるのではないでしょうか。積極的に指揮を出す人、協調性が高く周りの動きに合わせて動く人、何も発することができない人など、その人の素の性格が現れます。

 ワークの後の振り返りでは、自分のワーク中の振る舞いについて批判的に振り返ってもらいます。その内容を踏まえて、1年間共に働くチームとしてお互いを生かすために必要なコミュニケーションの在り方を探ってもらいます。

 このように4月当初にチームビルディングを行うことで、お互いの特性を理解し合いながら、子どもたちとの学びを共創する素地をつくることができます。この他にも、チームビルディングにはさまざまな手法が存在します。ぜひ、ご自身の職場に適した方法で、「職員室開き」を実践してみられることをお勧めします。

広 告
広 告