PDCAの「Check」がほとんどない組織が学校です。「Do」がやたらと多く、その振り返りをしないまま次の「Do」を行うことが多いのではないでしょうか。学校評価や生徒アンケートなどでデータを集めはするものの、それを対話的に次の実践へとつなげられているケースは多くありません。
実際、私の勤務校もPDCAの「Check」はほとんど機能していませんでした。そこで実施することにしたのが、学期ごとの振り返りワークショップです。現在は学期の最終日や長期休暇の1日目に行い、全教員で学期を振り返る機会を持っています。
学期の振り返りで大切にしたいことは、自分たちの頑張りをねぎらうことと、他学年の取り組みを効果的に共有すること、そして次なる一手につなげていくことです。そこで行ったのが「勝手にポスターセッション」です。
「他校からの視察が入った」という設定で、各学年の年度や学期の取り組みを模造紙1枚のポスターにまとめるというワークです。知る活動では、年度末であれば年間の、学期末であれば学期の取り組みを簡単に振り返るだけで、いかにポスターをまとめるかの思考が働き始めます。
ポスターセッションですので、質問事項もあらかじめ提示します。「あなたが一番ワクワクした行事は?」「非認知能力を育んだ取り組み3選は?」「子どもたちが他者と協働していたなと感じた行事は?」などです。これらの質問事項は教育目標にひも付けます。
また、ルールも規定します。①必ず全員がペンを持って書くこと②イラスト4、言葉6の割合でデザインすること③ポスターの見栄えは評価しないこと④誰が発表するかは完成後にじゃんけんで決めること⑤「この1年を表すキャッチコピー」を添えること――などです。①と④は全員に当事者となって主体的に取り組んでもらうための工夫です。プレイフルなワークのルールとして提示することで、嫌みが出ずに全員をフラットな立場に置くことが可能です。
実はこのワークはポスターの作成と発表で終わりません。発表後に再度、対話を促す問いを投げ掛けます。「もっと挑戦と失敗を経験しながら学べる行事にするために、私たちはどんな仕掛けができますか?」と問い掛け、次年度や次学期への見通しを持たせる対話も促します。
このように過去を振り返り、全員で共有し、未来を見据えた創る活動を行うことで、自分たちの取り組みに新たな意味が生まれ、次の一手が創発されていきます。もちろん、毎回ポスターセッションではなく、レゴブロックを使うなどの飽きさせない工夫も必要です。ご自分の学校に適したプレイフルな振り返りのワークが創発されることを期待しています。