【部活動の新しいカタチ(7)】「アウトソーシング」による部活動改革

【部活動の新しいカタチ(7)】「アウトソーシング」による部活動改革
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 全国の自治体では部活動改革が、教育委員会が主体になって進められている。それは、部活動が「学校教育の一環」であると学習指導要領(今後、見直しが検討されている)に示されているように、教育委員会が部活動の主管であるからだ。

 しかし東京都渋谷区では、区スポーツ部と委託先である渋谷ユナイテッドが先導して部活動に取り組んでいる。地域への移行となると、教育委員会よりも地域との関わりが強い区職員の方が円滑に進む。実際に支援団体や指導者といった受け皿探し、活動場所の確保などにおいて、区職員は地域の支援団体との関係性を育んできた強みを持っている。前スポーツ部長の山中氏は渋谷区民であるし、振興課長の田中氏は区のスポーツ行政一筋でやってきており、2人とも地域のスポーツ関係者との絆は強い。

 全国全ての教育委員会は多忙である。そのため、教育課程外の部活動改革を中心として請け合うだけの余裕がないのが実情だろう。私は教育行政に長く携わっていたから、よく分かる。そのため「部活動改革」を教育委員会の外に出すこと、すなわち「アウトソーシング」はとても有効な手段である。

 そうは言っても、部活動は教育委員会が主管であるから丸投げにはできない。教育委員会の連携・協力なくして改革はあり得ない。そこで渋谷ユナイテッドは区スポーツ部を通じて、教育委員会と連携を図りながら3組織が協力して柔軟に進めてきている。

 しかし、渋谷区のように区市スポーツ所管課などにおいて地域移行を進めている自治体の中には、教育委員会が丸投げで関与していなかったり、非協力的でブレーキをかけたりするようなところもあると聞く。それでは事は成就しない。だったらアウトソーシングせず、教育委員会がしっかりやればいい。

 今進められている部活動の地域移行は、要するに部活動のアウトソーシングであり、併せて運営自体もアウトソーシングすることが成功の秘訣(ひけつ)だ。それは教育委員会の関与があってこそである。学校外に部活動が移行されても地域の子どもであることに変わりがない以上、子どもに関係する大人たちが一枚岩となって取り組むことが重要である。

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