【子どもが本来もっているものを引き出す「しつもん」(2)】しつもんするに当たっての心構え

【子どもが本来もっているものを引き出す「しつもん」(2)】しつもんするに当たっての心構え
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 今回はしつもんメンタルトレーニングを活用するに当たっての心構えについてお話しします。

 武道にそれぞれ固有の「構え」があり、柔道であれば技をかわすことができるのと同様に、しつもんメンタルトレーニングにおいても、しつもんをする側と回答する側の双方に「構え」が必要になります。その構えとは「心構え」であり、次の3つのルールがこれに当たります。

①出てきた答えは全て正解

②分からないも正解

③出てきた意見は全て認め合う

 この3つのルールによって、回答する側から多様な意見を引き出すきっかけをつくることができます。これらはそれぞれが独立するものではなく、3つでワンセットです。

 例えば、会議などで最初に発言する人はドキドキします。 「自分の発言は周囲に受け入れてもらえるだろうか」という期待と不安が入り混じった心理が働くからです。そのため、あらかじめ発言したことを認め合える雰囲気があれば、安心して発言することができます。

 加えて、発言したいけど言葉にできない場合に「分からない」と言えることも大切です。ただし、これは「考えてみたけれど」が前提です。初めて出合うしつもんであれば、すぐに答えられないこともあります。ですから、「分からないなりにも考えようとした」ということが大事になるのです。

 このように自己決定の場を提供しつつ、その後のリアクションも認めることを繰り返せば、どんな人でも意欲的になっていきます。こうして進めることで、どんどん心の中にある本来もっているものを引き出していけるようになります。

 そして、心構えをもとに良質なしつもんができるようになると、教師自身が次のような良さに出合えます。

  • いつでもどこでも、簡単・手軽にできる
  • 主体的な動きとなる
  • 自身の考えを整理できる
  • 自分自身をマネジメントできる
  • 自身をプロデュースすることができる
  • しつもんの答えから学ぶことができる
  • 余裕ができる
  • ファシリテートできる
  • カウンセリングができる

 これらの点は、授業改善の視点として学習指導要領に盛り込まれた「主体的・対話的で深い学び」との親和性が高いものがあります。教師や子どもたちの学びの姿として必要なことばかりだからです。こうしたことから、「しつもんメンタルトレーニング」を学校教育に取り入れることの必要性を私は感じています。次回からは、具体的な実践例をもとにしつもんについてお話ししていきます。

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