【もっと自由に、もっと深く学ぶために(3)】新しい授業スタイル① 自学・自習

【もっと自由に、もっと深く学ぶために(3)】新しい授業スタイル① 自学・自習
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 「子どもがする授業」として、まず取り組んだのは自学・自習です。端的に言えば、子どもだけで授業を進める学習です。学習係が発問・指示を出し、板書もします。授業の最後まで教師が介入することはありません。そうして「授業は教師が仕切るもの」という子どもの考えを変えていきます。

自学・自習。授業は教師が仕切るものではなく、子どもたちだけでも学び合うことができる

 「子どもがする授業」には、幾つかのスタイルがあります。導入する際は校内研修会を開き、導入する理由や取り組み方を説明し、教職員で話し合い、子どもたちにもやってみたいかを尋ねてもらうという流れを毎回繰り返しました。まずは、実際に取り組む教師や子どもたちが、「面白そうだ」「やってみたい」と思うことが大切だからです。

 自学・自習を始める際は「子どもだけで授業をするなんて無理・無謀だ」という意見がありました。それでも、私自身は先進的に取り組んでいる学校で研修をしてきたこともあり、「特に何も準備をしなくとも、結構やれるはず」「子どもたちを信じて、1回だけでも取り組んでほしい」と話しました。そうして、高学年を中心に少しずつ実践が始まりました。

 すると、「思ったよりもやれる」「意外な子が活躍する」など、子どもの学ぶ力を見直したという話が職員室で聞かれるようになりました。教職員は、子どもが変容する事実・手応えがあれば、主体的に取り組むようになります。それに合わせて子どもたちの学びがより良いものになり、さらに工夫を加えて実践が充実するなど、好ましい循環が始まります。

 自学・自習は、ある程度までは子どもたちだけですぐにできるようになります。理由は大きく2つあります。一つは、子どもが毎日の授業を見て・体験しているからです。そのため、自学・自習はその学級で普段行われている授業の復元になります。もう一つは、授業の前に学習係と担任の間で事前の打合せが行われるからです。いわゆる「事前研」に準じたものです。教科書はもちろん、教師用の指導書や各種資料も活用します。授業の目当てを確認し、およその学習内容を把握し、時には思考ツールを使いながら板書の仕方も考えます。

 自学・自習に取り組むことで、子どもが自ら学ぶことに対する教師からの信頼が高まります。ある内容を伝達するだけの授業なら、自学・自習で十分だとすら感じます。一方で、子どもたちだけで学ぶことの限界も見えてきます。難しいのは、課題の質の向上・構造的な板書・明示的な指導であり、ここが教師の出番、腕の見せ所になります。これらがうまく機能すれば、「先生と一緒に学ぶと面白い」と子どもからの信頼が高まります。

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