【子どもの不安を解きほぐす認知行動療法(2)】支援の必要な不安を見極める

【子どもの不安を解きほぐす認知行動療法(2)】支援の必要な不安を見極める
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 前回説明した通り、日常的に感じる不安と支援の必要な不安は見極める必要があります。今回はその判断基準を簡単に紹介します。

 まず、子どもによく見られ、かつ問題となりやすい不安の種類を紹介します。第1に、愛着のある大人、つまり親から離れるのを怖がる分離不安があります。例えば、お母さんと離れるときに泣き叫んでしまったり、登校登園渋りを示したりします。第2に、人前で何かをすることや人との交流に不安を感じる社交不安があります。多くの場合、発表や実技を嫌がったり、同級生がたくさんいるところを避けたりします。そして第3に、世界で起きていることや自分の失敗などを繰り返し心配する全般不安があります。過去に起きたちょっとしたことを何度も繰り返し心配していたり、時間に遅れないか間違いはないかと完璧主義的な態度を見せたりすることもあります。

 それでは、支援の必要な不安をどのように見つけ出せばよいのでしょうか。それを見極める3つのポイントを説明していきます。

 最初のポイントは、不安の程度が強いことです。例えば、幼い子どもの多くは分離不安を示します。しかし、それが小学校に上がっても顕著で、母親と一緒でないと教室に入れないくらいひどいものになると、支援の必要を考えるべきだと思います。つまり、同級生と比べたときに不安の程度が著しく強いと考えられる場合に、支援が必要であると考えることができます。

 2つ目のポイントは、不安の問題が一定の期間継続していることです。例えば、事件や事故のニュースを見て、一時的に心配になることは誰にでもあります。また、新しい場所に入ったときに、最初は少し不安を感じることもよくあるでしょう。時間がたってケロッとしている場合、問題にはなりません。しかし、何日たっても、「もし近くで同じようなことが起こったらどうするの?」と繰り返し尋ねたり、新しい場所に慣れることができずに結局通えなかったという経験を何度もしていたりしたら、支援の必要が出てくるでしょう。

 最後に、不安が子どもや家族の生活に支障を来している点が挙げられます。例えば、これまで例として挙げてきた登校渋りや、新しいところに通えないという不安は、分かりやすく子どもと家族の日常生活を困難にしています。逆に、飛行機が怖いという子どもがいても、日常的に乗る必要がなければ、それ自体は困らないことかもしれません。しかし、里帰りや修学旅行などで、ひとたび必要性が生じれば、支援が必要だということになるでしょう。

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