【子どもの不安を解きほぐす認知行動療法(4)】不安で困っている子どもを見つけ出す

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 不安で困っている子どもは、学校や家庭でどんな様子を示しているのでしょうか。毎年度行われている文科省の調査によると、主たる不登校の要因として最も多いのは「無気力・不安」であるとされており、2020年度においては不登校児童生徒に占める割合が46.9%とされています。例えば、母親と離れることについて不安を感じる分離不安や、同級生からどう思われているか気になってしまう社交不安、そして課題が完璧にできているか心配になってしまう全般不安などの特徴を考えると、高過ぎる不安は学校生活において不適応をもたらす可能性が高いということは納得できます。

 不安という感情の周辺には、特徴的な考え方、身体的な反応、そして不安に関連した行動が併せて起きていることが少なくありません。特徴的な考え方としては、例えば「絶対に失敗してしまう」「私は皆から嫌われている」といった決め付けのような考え方があります。また、不安を身体的な症状として示す子どももいます。不安を腹痛や頭痛といった形で訴える子どもは非常に多いのです。イライラ、睡眠の問題、疲れやすさという形で表現されることもあります。さらに、不安は人の振る舞いに変化をもたらすことになります。例えば、学校や新しい場所に行くのを避けるという形で、行けない場所やできないことが増えてきてしまうことも強い不安の特徴です。

 一方で、不安の高い子どもは、周囲の大人が見てすぐに分かるような問題だけを抱えている訳ではありません。例えば、全般不安が強い子どもは、もしかしたら周りからは「よく見直しをする慎重な子ども」であると見られているかもしれませんし、人目を気にして発表しない子どもは「物静かな子ども」と捉えられているかもしれません。

 一般的に、不安や抑うつなどの問題は内在化問題と呼ばれ、暴力や逸脱行動を示す問題を外在化問題と呼びます。ごく簡単に言えば、前者と比べると後者の方が周囲は困っていると感じることが多いのです。そのため、不安の高い子どもは、周りの大人から、いわゆる「問題のない子ども」と認識されている場合もあります。

 コロナ禍では不安の高い子どもが、今までよりも多く報告されていることを前回説明しました。もし、前回の調査結果を見て、そんなに不安に感じている子どもが多いと思わなかった場合、改めて周囲に「問題のない子ども」と認識されていないか注意をしてあげてください。不安の子どもの特徴と、現在の状況を併せて考えると、今まで以上に周囲の大人が気にしてあげることが大切だと考えられるからです。

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