不安に困っている子どもがいたら、まずは不安について話してもらうことから始めましょう。不安が漠然としているからこそ、ますます不安になるのかもしれません。例えば、新型コロナウイルスに関する心配は、曖昧なことや分かっていないことが多いからこそ、ひどくなったりしないでしょうか。逆に正確なことが分かれば、きっと不安は少なくなると思います。同じように、新しい場所に行ったらどうなるのか、もし間違えてしまったらどうなってしまうのか、不安を引き起こす出来事や対象は漠然としています。
そのため、不安を解きほぐすためには、不安を口に出して、具体的に説明してもらうことから始めます。小さい子どもであれば、名前を付けてみてもよいでしょう。「じゃあ、キミの不安を『○○』と名付けよう!」と、漫画やゲームの敵キャラクターなどを使うこともできます。不安の強い子どもは、そのことを話すことも恐ろしいと感じていることがあるので、十分に時間をかけて、子どものペースで進めてください。そのハードルが高ければ高いほど、不安を口にすることは大きな一歩になります。
子どもに不安を尋ねる上で重要な点は、共感と理解のバランスを保つことです。何やら難しい感じがするかもしれませんが、子どもの話を真剣に聞いてあげれば自然とこのバランスが保たれるはずです。「不安になるのはおかしい」と否定してしまったり、話を十分に聞く前に「不安になる必要はない」と説得してしまったり、根拠なく「私の場合はこうした」と自慢したりすることは避けたいということです。
例えば、リコーダーのテストに不安を感じている子どもがいたとします。その話を聞いているあなたは、そうした場面で不安を感じたことがないので、なぜ不安を感じるか理解できていません。そこで、「どんなとき不安なの?」「先生の前と皆の前ではどちらが不安?」「家での練習のときはどう?」といった形で質問をするとよいでしょう。それだけではなく、拙いながらも説明する子どもの答えを一生懸命聞いてあげる必要があります。途中で話を遮ったりしたら、子どもは話さなくなってしまいますし、あなたもどうして子どもが不安を感じるのか分からないままでしょう。
なぜ、子どもが不安に感じるのか正確に理解できたならば、きっとこう感じるはずです。「なるほど、そう考えて、そんなにお腹が痛くなっているのなら、テストを休みたくなるのも無理がないか」と。このように子どもの不安を理解しようと純粋に努力することは、子どもの不安について共感を示すことにつながっていきます。