【子どもの不安を解きほぐす認知行動療法(6)】不安がもたらす体の変化について知る

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 本連載ではこれまで、子どもが不安を感じているときの、身体的な反応や特徴的な考え方、そして不安に関連して行動にも変化が生じることを説明してきました。中でも身体的な反応は、見逃すことができない要素になります。子どもは「不安である」と親や教師に言うことよりも、「頭が痛い」「お腹が痛い」「だるい」「やる気が出ない」と訴えることの方が、はるかに多いからです。

 まずは不安と体の関係性について、子どもと一緒に学んでいくことから始めます。イラストを使って、不安を感じているときにどこに体の変化が出ているかを学ぶことができます。子どもによって感じやすい箇所は異なるので、どこに不安が出そうかを一緒に考えます。最初から書き込むのが難しければ、アニメや漫画のキャラクターのいろいろなシーンを見ながら、どのシーンで不安を感じているか、それはどこから分かるのかということを一緒に話し合ってもよいでしょう。

 不安と体の関係性を調べることができたら、次にリラクセーションを一緒に練習します。リラクセーションには呼吸を使った方法と筋肉を使った方法があります。具体的な手続きは、さまざまな文献に掲載されているので、実施する際にはぜひ参照してください 1)。呼吸法は一般的に腹式呼吸と呼ばれる方法を用います。ポイントは息を吐くときにはお腹がへこんで、息をためるときにはお腹が膨らむことです。腹式呼吸は寝ているときの呼吸なので、床に寝転んでみれば誰でも体験することができます。そして、リラックスする呼吸においては、吸う方ではなく吐く方の息に意識を向けます。吐く方の息を細くなるべく長くするようにするのです。口の前に紙を一枚置いて、その紙が震えないようにと指導することもできます。

 一方、筋肉を使ったリラクセーションは、漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)と呼ばれます。例えば、利き手で握り拳を作って8割くらいの力で10秒間力を入れ続けます。その後で「リラックス」と心の中で言いながら手を開きます。その後、20秒間くらい手を開いて、血が巡ってくる感じやリラックス状態を味わうようにします。十分にリラックスできたら、同じ動作を繰り返します。ここでのポイントは、筋肉が緊張した状態を体験した後で、弛緩(しかん)を味わうということです。利き手でうまくいったら、両手、腕、肩と全身に広げていきます。

 なお、リラクセーションは不安に伴う体の反応に実際に作用することから有効な方法ですが、持病やけがなどによっては、実施の際に注意が必要な場合があります。

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