若手さん「グスッ、しくしく…明日の研究授業、うまくいくかどうか不安で…」
ミドルさん「ハハハ!大丈夫だよ。俺なんか、最初はいろいろとやらかしちゃったもんだ。いざ授業をしようと思ったら、印刷したつもりのワークシートが手元になくてさ~ハハハ…」
若手教員と話す中で、最もありがたく思ってもらえるのは「しくじり」(失敗談)を語ったときです。これまでにどんな失敗をして、どうすることで乗り越えてきたのか、自分の経験を伝えてあげると、若手教員は安心してチャレンジすることができます。
たまに「失敗は自分で経験しないと分からないから、こちらからは何も語らない」という厳しい先生もいますが、多くの場合、逆効果になります。私が若手の頃も、特に生徒や保護者の対応に関しては、隣の席の先生の失敗談から多くのことを学び、勇気をもらいました。
もちろん、他人に話したくない失敗談まで語る必要はありませんが、過去のちょっとした失敗を恥ずかしがらずに笑い話にできる人は、魅力的に見えるものです。自分の経験は惜しみなく後輩に伝えていきましょう。
また、もう一つ大切なのは、とにかく若手教員に仕事を「任せる」ことです。どんな小さなことでも、まずは役割を与えて仕事を任せてみましょう。仕事を任せると、若手教員に当事者意識が生まれ、仕事の質が変わってきます。もちろん、中には「とてもじゃないけど任せられない」と不安に思ってしまう場合もあるでしょう。それでも、「どうしようもなくなったら、最後は自分が手取り足取りサポートする」という覚悟で任せないことには、いつまでたってもその若手教員は成長しません。
ミドルさん「ほら、あなたにもできたでしょ。あなたにはできる力があるんだよ」
若手さん「今まで自分には無理だと思い込んでいたけど、やってみてよかったです!」
現場に出てすぐの若手教員は、よちよち歩きの赤ちゃんのようなものです。何の手助けもなく、全員が自分の足で歩けるわけではありません。すぐに歩ける人もいれば、つかまり立ちから入る人もいます。大半の人は「少し支えてくれたら歩けそうなんですけどね…」という段階だと思います。仕事を任せてみて「ほら、できるでしょ」「あなたにはできる力があるんだよ」ということを実感させていくことが大事なのです。
その際には、できた瞬間を見逃さないように、しっかりと見守っておくことが大切です。そして、褒めるときには「生徒がすごくいい表情をしているね」など、子どもの様子を通して褒めるようにします。すると、若手教員も「よし!もっと頑張ろう!」と前向きな気持ちになれることでしょう。