東京都公立中学校主任教諭
若手さん「グスッ、しくしく…仕事のことじゃないので、大丈夫です…」 ミドルさん「いやいや、大丈夫じゃないでしょ。どうしたの?」 若手さん「実は、祖母が病気になってしまって…心配で何も手につかないんです…」
若手さん「グスッ、しくしく…今年も採用試験に落ちてしまいました…」 ミドルさん「そう…うちでは担任も部活動もしっかり指導できているのにね」 若手さん「毎日遅くまで学校にいたら、試験勉強なんてできなくて…」 「誰一人取り残さない職員室」を目指すために知っておきたいことの一つとして、非正規教員の苦悩があります。臨時的任用教職員(臨任)や産休・育休代替教員などの非正規教員の割合は年々増える一方です。
ミドルさん「あれ?なんだか今日はやけに忙しそうだね。どうしたの?」 若手さん「今日は午後から研修に出掛けるので焦っていて…あわあわ」 あなたの学校でも、こんな光景を見たことはないでしょうか。行政の若手研修といえば「初任者研修」(初任研)です。自治体によって差はあるものの、一般的には自校で行う校内研修と校外研修とで構成されています。
ミドルさん「若手さん、何か悩んでることはない?今日、職員室に戻ってきたとき、すごく暗い顔をしてたよ」 この何気ない一言が、若手さんを救います。なぜなら、若手さんは「自分が暗い顔をしている」ということに気付いていない場合が多いためです。
若手さん「(学年主任、「雑務は俺の仕事じゃない」って感じで、細かい仕事は手伝ってくれないんだよなぁ。みんなでやれば早く終わるのに、人手も足りないし困ったなぁ…。)」 ミドルさん「(あれ?あの学年主任、若手に任せっきりだぞ…周りの先生たちは困っていそうなのに、気付いていないのかな?)」
現場に出て2~3年がたつと、「隣の芝生は青く見える」現象が起きます。周りと比較して、「あの先生に比べて、自分の学級経営は全然駄目だなぁ」「〇〇先生は子どもから信頼されているのに、自分は…」などと、自信をなくしてしまうことが増えてきます。
前回、若手教員に仕事を「任せる」ことが大切だとお話ししましたが、若手教員がやりたいことにチャレンジするためには、学校として校務がスムーズに回っていなければいけません。つまり、「当たり前のことが当たり前に機能している」ことが大切です。土台がしっかりと作られていなければ、逆にやる気に満ち溢れた若手教員を混乱させてしまい、足を引っ張ってしまうことになりかねません。
若手教員と話す中で、最もありがたく思ってもらえるのは「しくじり」(失敗談)を語ったときです。これまでにどんな失敗をして、どうすることで乗り越えてきたのか、自分の経験を伝えてあげると、若手教員は安心してチャレンジすることができます。
あなたの学校の若手教員は、周りの先生方と話せていますか? 若手教員からすると、自分から先輩に話し掛けるのはハードルが高いものです。「ちょっとうっとうしいな」と思われる覚悟をもって、「ちょっぴりおせっかいな先輩」になったつもりで話し掛けましょう。
私が最初に着任した学校は、東京都内の決して大きくない学校でした。女子職員トイレの個室の数はわずか3つ。その狭い空間で、一人の若手教員(若手さん)が泣いていました。そこへ通り掛かったミドルリーダー層の教員(ミドルさん)。さて、いったいどんなサポートをしていけばよいのでしょうか。
広告ブロック機能を検知しました。
このサイトを利用するには、広告ブロック機能(ブラウザの機能拡張等)を無効にしてページを再読み込みしてください