【若手が輝く学校づくり(7)】「悩んでいいのかすら分からない」若手教員を救うために

【若手が輝く学校づくり(7)】「悩んでいいのかすら分からない」若手教員を救うために
【協賛企画】
広 告

 ミドルさん「若手さん、何か悩んでることはない?今日、職員室に戻ってきたとき、すごく暗い顔をしてたよ」

 この何気ない一言が、若手さんを救います。なぜなら、若手さんは「自分が暗い顔をしている」ということに気付いていない場合が多いためです。

 そもそも、好んで「悩みたい」「落ち込みたい」と思っている人はいません。何か困ったことや悩み事があっても、真面目な人ほど周りに気を遣い「こんなことで悩んでいては駄目だ」「まだまだ自分は頑張れる」と、自分をごまかしながら日々を乗り切ろうとします。そのため、自分でも「今、自分がどのような状態なのか」が分からず、気付かないうちに頑張り過ぎてしまい、ある日プツンと糸が切れてしまうということが起きてしまうのです。

 近年は、着任して1~2年で辞める人や病休に入る人が全国的に多く、教員志願者も年々減ってきていると耳にします。このまま若手教員が減り続けると、学校が活力を失い、教員不足にも拍車が掛かることでしょう。だからこそ、早い段階で若手教員の悩みやつまずきに気付き、サポートしていくことが大切になります。

 冒頭の若手さんの話に戻りますが、彼女は私にこんな話をしてくれました。

 若手さん「私、いつもなかなか人に相談できなくて…。周りの先生に『大丈夫?』って聞かれても、『大丈夫です』としか答えられないんです。自分では大丈夫なつもりなので…」

 詳しく聞いてみると、どうやら彼女は自分の悩みが「悩んでいいことなのかどうか」「日々の中でどのくらいの悩み事なのか」が分からず、周りの先生に相談していいのかすら判断がつかない時期があったそうです。そんなときに、「暗い顔してたよ」「足取りが重そうだったよ」「声に張りがないね」などと客観的な事実を伝えてもらえたことで、「自分って今、こんなにひどい状態なんだ」「話してみてもいいことなんだ」と思えるようになり、相談を切り出すきっかけになったそうです。

 着任して日が浅ければ浅いほど、若手教員は「分からないことすら分からない」という状態にあります。年数を重ねれば、それがどれくらいの悩み事で、自分で解決できるのかできないのか、人に相談した方がいいのか、相談するなら誰に相談した方がいいのか、自分で判断することもできます。一方で若手教員の多くは知らず知らずのうちに一人で抱え込んでしまい、苦しい思いをしています。「表情が暗い」「疲れている」「栄養ドリンクをよく飲んでいる」など、若手教員が発する小さなサインは必ずあります。仮に空振りだったとしても問題ありません。声を掛け続けることで「あなたのこと見守ってるよ」というメッセージを伝えていきましょう。

広 告
広 告