【「頼るスキル」の磨き方(4)】受援力スコア

【「頼るスキル」の磨き方(4)】受援力スコア
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 今回は、皆さんの受援力を測ってみましょう。数値でスコアを出せるものではありませんが、皆さんの口癖やとっさの一言に受援力が表れます。

 受援力はその人の状態によって変わりますし、正解・不正解はありませんが、表のAとBのどちらに多くチェックが付くでしょうか。

 実際にチェックをしてみて、皆さんはAとBのどちらが生きやすいと感じるでしょうか。子どもたちにはどう思ってほしいでしょうか。私自身は、日本で産婦人科医として働いていた頃は、まるっきりAタイプでした。自分がきちんとやり切れることでなければ手を出してはいけないとすら感じていました。

 でも、妊娠・出産や子育て、留学、転職などを経験する中で失敗もしながら学び、考え方が変わっていきました。何より、ドイツやイギリス、アメリカなど海外で子どもを産み育てる中で、海外では当たり前のようにBタイプのような雰囲気が浸透しており、頼ることを許容する風土を感じ、とても子育てがしやすかったことを覚えています。

 ドイツで第一子を妊娠・出産した時は、人に頼る方が好意を持って受け止められましたし、イギリスやアメリカでも常にBタイプの感覚が当たり前のように思えました。宗教、文化、政治、社会システムなどさまざまな理由があるのだとは思いますが、こういう考え方が当たり前の国があるのだと知るだけで、自分自身の「当たり前」「常識」が全てではないということに気付くはずです。

 私たちは小さい頃から「自分一人で身支度ができるようになる」「自分一人でご飯が食べられるようになる」「自分一人で目標を完遂できる」ことが一人前であることのように育てられ、「自立」とは一人で生きていくことのように感じてきました。でも、複合的で複雑な課題に一人で立ち向かい、「自己責任」という言葉の下に自分で全てを引き受け続けると、「助けて」と言えずに孤立していきます。

 「一人でできることと一人ではできないこと」の見極めをつける、これが大人になってからの本当の自立です。「自立とは、依存先を増やすこと」というのは小児科医の熊谷晋一郎さんの言葉ですが、社会に出る前後の若者に、「あなたが頼ることで、もっと良い結果が生まれる」「あなたが頼ることで、頼られた相手や周囲にもメリットがある」ことを伝えることで、他者と協力し合って生きていくという社会性の基盤が培われるのではないでしょうか。

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