【子どものトラウマ回避(4)】親や教師ができる子どものこころのケア:子どものための心理的応急処置①

【子どものトラウマ回避(4)】親や教師ができる子どものこころのケア:子どものための心理的応急処置①
【協賛企画】
広 告

 子どもたちが衝撃的な出来事を体験した際、子どもの心を守るために、周りにいる養育者や教師たちはどのようなことができるでしょうか。

 紛争や災害など危機的な状況が起きた直後における「深刻なストレス状況にさらされた人々への人道的、支持的かつ実際に役立つ援助」として、世界保健機関(WHO)の「心理的応急処置」(PFA:Psychological First Aid)があります。PFAは、子どもが子ども自身の力で回復する力(=レジリエンス)を支えるためのやり方です。精神科医や心理の専門家が行う治療ではなく、国際的な人道支援のガイドラインにおいて、支援に関わる全ての人々が用いることが推奨されています。

 PFAは、「ストレスを抱えている人に対して、押し付けがましくない、実際に役立つケアや支援を提供する」ものです。無理に聞き出さず、相手の話すことを「傾聴」することを基本として、以下のような支援を行います。

・ニーズや心配事の確認

・水や食料、住居など、基本的ニーズへの援助

・安心させ、落ち着ける手助けをする

・情報や公共サービス、社会的支援につなぐ

・さらなる危害から保護をする

 PFAでは、人々の回復を阻害する要因を取り除き、回復を促す要因を強めます。具体的には以下の通りです。

〇回復を阻害する要因:現実的な問題、社会やコミュニティーからの孤立、その他(本人の意に反した取材活動、警察、行政、保険会社などによる事情調査)

〇回復を促す要因:安全の確保と二次的被害からの保護、住環境が整うこと、日常生活の再開(学校、仕事、日常的な家事など)、経済的な見通し、一般的サポート(出来事や援助に関する情報、巡回などによって住民から見て援助が「手の届くもの」と思えること)、心理的な変化に対する情報・教育(症状だけではなく、健全な状態や回復時の状態についても情報を提供する)、必要時の相談先(ホットライン、相談窓口)の明示

 多くの子どもたちは、PFAが提供されることによって自らの力で回復することができます。それでも強いストレスが続く場合には、メンタルヘルスの専門家への紹介を検討することになります。

広 告
広 告