【先生が幸せに働くためにできること(7)】「発達検査を受けませんか?」と担任の先生から言われた話

【先生が幸せに働くためにできること(7)】「発達検査を受けませんか?」と担任の先生から言われた話
【協賛企画】
広 告

 友人が、わが子の担任の先生から言われたらしい。「お子さん、発達検査を受けませんか?」と。友人はその言葉がショックで、すぐには受け止められなかったそうだ。なぜそんなことを言うのかと、怒りの感情が湧いてきたこともあったという。心を切り替えられ、わが子の姿と成長を受け入れられたのは、数年後のことだったらしい。その話を聞いたとき、私は数年前に特別支援学級の先生が話していたことを思い出した。

 「あのね、特別支援は子ども支援だけじゃないよ。親支援も大切なんだよ。私たちはね、『子どものために早く検査をして得意不得意を理解した上で支援をした方が…』とか、『その子に合った学びの場を少しでも早く整えた方が…』とか思ってしまうかもしれない。でも親はさ、自分が描いていた当たり前が全部覆されたような、そんな気持ちになってしまうんだよね。その気持ちに寄り添ったり、子どもの姿を小まめに伝えたり、話をたっぷり聞いたりする。そんなことも特別支援をする上では、すごく大切なことだと私は思うよ」

 私自身、弟が自閉スペクトラム症ということもあり、「障害」「特別支援」「発達検査」に対する壁があまりない。そんな私に対して、特別支援学級の先生が伝えてくださったことだった。

 でも、私はいつも疑問に思っている。

 「発達検査を受けませんか?」と伝えるのは一体、教育現場では誰の役割なのだろうか。担任なのだろうか。

 発達検査というものを知らず、そしてそういうものを求めている保護者の場合、提案することによってほっとするかもしれない。私は弟と過ごしてきたからよく分かる。親は、自分の育て方を責めるのだ。だから『自分が駄目だったわけじゃないんだ』『この子の凸凹を知らなかっただけなんだ』と安心する親もたくさん見てきた。

 そして、新しいアクション(特別支援学級に移籍する、通級指導教室へ通う、療育を始めるなど)を起こすきっかけになるかもしれない。欲しかった情報を得るチャンス、欲しかった支援を手に入れるチャンスになるかもしれない。

 でも、保護者の中にはやはりショックを受ける人もいるかもしれない。場合によっては保護者と担任との関係がこじれ、円滑にコミュニケーションを取ることが難しくなってしまうことだってあるかもしれない。

 でも、普段の状況をよく知っているのは担任だし、そういうことを専門的に伝えられるスタッフはいない。だから伝え方も伝えるタイミングもすごく難しいのに、その役回りを担任が求められる。

広 告
広 告