災害時、日本の子どもたちはどのような状況にあるでしょうか。恐ろしい体験をし、住み慣れた家や地域から、避難所などに一時的にまたは長期にわたり避難しなければならない子どもたちもいるでしょう。学校や幼稚園・保育園なども数日から数週間にわたり休校や休園になり、部活動や習い事、友達との遊びなどもしばらくの間は我慢しなければならなくなります。避難所などでは温かい食事やお風呂がなく、当たり前だと思っていた便利な生活を我慢しなければならないかもしれません。被災の程度によっては、家族や親戚、親しい友人、住む家を失う子どもたちもいるかもしれません。
コロナ禍で在宅避難や少人数での避難が勧められるようになり、ホテルや旅館などと災害時の避難者受け入れに関する協定を結ぶ自治体も増えています。避難所を快適にするために、畳マットや段ボールベットなどを入れる手配もされています。しかし、全ての避難所が快適になるわけではなく、避難所によってかなりの差が出てしまうのが実態です(写真参照)。
子どものいる家庭の中には、親戚の家に避難したり、被災した家屋にそのまま残ったりする人たちもいます。台風や豪雨などの水害では1階だけが被害を受けて2階は無事ということも多いので、2階だけで過ごしている家庭も少なくありませんでした。避難所にいる方々の状況が比較的把握しやすい一方で、在宅避難の方々の状況把握は難しく、必要な物資や支援が届かないという課題もあります。
避難所にいれば支援団体が子どもの遊び場や学習スペースなどを開設することもありますが、被災状況によっては安全な場所を確保することが難しく、子どもたちの居場所がないようなことも多くあります。旅館やホテルの個室は衣食住という意味では快適かもしれませんが、個室であるが故に他の家族や友達と顔を合わせる機会が減ってしまい、かえって孤立感が高まったり、小さな子どものいる保護者は子育てに息詰まってしまったりするという課題もあります。
熊本地震では余震が続いていたため、避難者の約7割が車中泊を経験しています。中でも幼い子どもや発達に課題があって大声を出してしまうような子どもを抱える家族は、車中泊を余儀なくされるという実態がありました。学校は被災後数日から数週間にわたって再開しないので、学校の友達と会えない寂しさや受験を控え勉強に不安を抱える子どもたちもいます。大人は家屋の片付けや生活再建に忙しく、話を十分に聞いてもらえない子どもたちが我慢やイライラした気持ちから攻撃的になったりすることもあります。食欲がなくなったり、眠れなくなったり、小さい子どもたちが赤ちゃん返りをしてしまうことなどもあります。