【災害時の子どもの安全保障と居場所(4)】子どもの居場所の重要性~災害支援のスタンダードに~

【災害時の子どもの安全保障と居場所(4)】子どもの居場所の重要性~災害支援のスタンダードに~
【協賛企画】
広 告

 前回もお伝えしたように、避難先での不自由な生活が長引くと、子どもたちにさまざまな負の影響が現れます。災害という緊急事態において子どもたちに必要なことは、親や周りの人たちとのつながりや心の通い合い、遊ぶこと、学ぶことなど、子どもたちの「日常」をできるだけ早く取り戻すことです。

ウクライナ国内のCFS ©UNICEF/UN0651248/Filippov

 「被災地の子ども支援」という目的の下、スポーツ選手を呼んでのサッカー大会や芸能人を呼んでのイベントなどを行う団体もありますが、イベントずくしは「非日常」です。子どもたちの心のケアにとって大切なのは、「子どもひろば」や「キッズスペース」などと呼ばれる、子どもが安心・安全に過ごせる居場所をつくり、遊びや学習など普段の生活でなじみのある活動を通じて「日常」を取り戻していくことです。

移動型のCFS ©日本ユニセフ協会/2014
移動型のCFS ©日本ユニセフ協会/2014

 災害時に子どもたちが安心・安全に過ごせる居場所は、世界ではCFS(Child Friendly Spaces:子どもにやさしい空間)と呼ばれています。1999年のコソボ紛争の時にユニセフなどが設置したのが始まりです。それ以来、世界のさまざまな国で災害時にCFSが設置され、子どもたちに安全・安心な居場所が提供されています。最近でも、内戦が続くシリアやウクライナなどの国内避難民や近隣の国々に国外避難している子どもたちに、CFSを通した心理社会的ケアの活動が行われています。日本でも、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震の時にCFSが作られていましたが、特に東日本大震災以降、CFSは災害時の子ども支援のスタンダードとしてさまざまな団体によって提供されています。

 2016年に公表された内閣府の「避難所運営ガイドライン」の中にも、「キッズスペース(子供の遊び場)の設置を検討する」という文言が入っています。しかし、全ての避難所で子どもたちの遊び場や居場所を確保するのはなかなか困難です。避難所でゆっくり休みたいのに、子どもたちの声がうるさいという声も聞こえてきます。子どもだけでなくさまざまな人たちが安心して過ごせるように、子どもの居場所をどこにどのようにつくるか工夫が必要です。次回は、CFSの具体的な設置や運営の仕方についてお伝えしたいと思います。

広 告
広 告