【災害時の子どもの安全保障と居場所(6)】東日本大震災と子ども支援

【災害時の子どもの安全保障と居場所(6)】東日本大震災と子ども支援
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 2023年3月11日、東日本大震災から12年が経過しました。発災当時6歳(小学1年生)だった子どもたちが今、18歳になっています。震災の影響を受けた子どもたちの多くが若者となり、中には親となっている人たちもいますが、地震と津波による大災害が地域に及ぼした影響は簡単には拭えるものではありません。当時の記憶が薄れてきている人も多くなっていますが、今も住み慣れた家や地域に戻れない方々が3万5000人以上もいらっしゃいます。

第1回東日本大震災子ども支援意見交換会(2011年5月26日参議院議員会館で開催)の様子
第1回東日本大震災子ども支援意見交換会(2011年5月26日参議院議員会館で開催)の様子

 東日本大震災の被災地ではその後、台風10号(16年)や台風19号(19年)の影響もありましたし、震災から10年を経ての余震(21年)、日本全国に大きな影響を及ぼした新型コロナウイルスの感染拡大など、この12年の間にも幾度となく災害に見舞われています。地震や津波で被災した子どもたちや若者が、まだ十分に心が癒やされていない中で繰り返し災害の影響を受けており、今後の継続的な支援を必要としています。復興庁も31年末までの存続が決まっており、子どもたちの心のケアや健康などの相談支援、学習支援などの取り組みは今後も必要です。親や家族、親しい友人を亡くして心に傷を負った子どもたちは、若者となり、親となった今も支援を必要としています。東日本大震災の発災時に中学生以上だった子どもたちに十分な心のケアの支援が届かなかったことが報告されていることから、今は親となっている若者たちへの支援も重要です。

 11年5月、有志の子ども支援団体と個人が集まって「東日本大震災子ども支援ネットワーク」を立ち上げました。災害時における子ども支援の重要性や復興に向けて子どもたちの声を聴きながら支援活動を進めていくことを提言するために、同ネットワークでは東日本大震災の支援活動に関わっている方々、国会議員と市民団体を交えての意見交換会をこれまで計16回行いました。子どもの心のケア、親を亡くした子どもなどの社会的養護、居場所支援、保育・学童支援、ひとり親家庭、学習支援などさまざまな課題について議論し、東日本大震災の子ども支援の在り方について提言を出してきました(アーカイブ資料はこちら)。宮城県議会など被災地の県議会でも発表や議論の機会をいただき、提言が実際の活動につながったものもあります(今年の2月27日に宮城県議会で行ったシンポジウムの動画も上記サイトからご覧になれます)。

 毎年3月11日には、東日本大震災を風化させないよう、子どもたちの声を聴きながらの子ども支援活動を継続するための提言を含めたメッセージを出してきました。日本全国、どこで次の災害が起きるか分かりません。東日本大震災の教訓をまとめ、今後に生かすために「災害と子ども・若者白書」を作成し、災害が子どもたちに与える中長期的な影響やどのような予防や対応が求められるのか、検証をしていく必要があります。

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