災害が起きると、多くの学校が避難所となります。避難所の運営は市町村の防災担当部局が責任を負うことになっていますが、多くの場合、学校の先生方にも協力が求められます。実際、全国の小中高校、特別支援学校など3万3285校のうち、3万349校(91.2%)が避難所として指定されています。特に小中学校では、94.9%が避難所として指定されています(文科省 2019年「避難所となる公立学校施設の防災機能に関する調査の結果について」)。
災害の規模にもよりますが、大規模災害では数週間以上にもわたって避難所の運営が継続し、学校の体育館や教室などが避難されてきた方々の住まいになります。その間、子どもたちは学校には通うことができません。避難所として使われない学校でも、災害で修復が必要となった場合は、数週間から数カ月にわたり校舎が使えない状況になります。その間、子どもたちには近隣校の空き教室などを使って授業を行いますが、学校から遠い所にある自宅や避難所、親戚宅などから通う子どもたちもいるので、スクールバスなどの手配も必要になります。災害が起きると、まずは子どもたちの安否確認が求められるほか、その後の学校再開に向けては子どもたちがどこに避難しているのかの把握(避難所や親戚宅から自宅へ戻ったりするなど、子どもたちの居所は日々変わります)、家族との連絡や状況確認、個別の対応など先生方に課される仕事は膨大です。
学校が再開されれば、被害に遭った教室や職員室などの備品の調達、子どもたちの教材準備などの必要性も生じます。災害救助法が適用される物品とそうでない物品(個人が購入し保有する書道や絵の具セットなど)があります。その際の行政的な申請手続きは市区町村教育委員会から都道府県を経由するので時間がかかり、ニーズにうまく対応できないこともあるため、民間の子ども支援団体などが行政と連携して物品調達の支援を行う場合もあります。また、PTA連合会などが被災していない学校の各家庭から物品の寄付を募ることもあります。
中古の物品(ランドセル、リコーダー、衣料品など)は調達したにもかかわらずなかなか引き取り手がなく、大量廃棄になってしまう場合も少なくありません。中古物品については、配布時期や配布方法、質の確保など、必要な人が必要なものを得られるような工夫が必要です。東日本大震災でも令和元年東日本台風でも中古のランドセルが大量に集まりましたが、そのほとんどが使われずにアフガニスタンの子どもたちに贈られました。