【災害時の子どもの安全保障と居場所(9)】子どもの意見表明権と災害子ども支援

【災害時の子どもの安全保障と居場所(9)】子どもの意見表明権と災害子ども支援
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 2023年4月1日にこども家庭庁が発足しました。こども家庭庁では子どもや若者から意見を聞き、彼ら彼女らが参加できる仕組みづくりが目指されています。また、こども家庭庁の発足とともに、こども基本法も施行されます。

 こども基本法では、全ての子どもが年齢や発達に応じて自分の意見を表明できる機会や活動に参画する機会が確保されること(第3条第3項)、子どもの意見が尊重され、子どもの最善の利益(※)が優先して考慮されること(第3条第4項)、国や地方公共団体は子ども施策の策定や実施、評価において、子どもまたは子どもの養育者などの意見を反映させること(第11条)などが定められています。これらは子どもの権利条約の第12条に書かれている、世界中の全ての子どもたちに保障されている意見表明の権利です。

 災害が起きたときや災害からの復興段階においても、子どもたちにどのような支援が必要なのかを考えたり、子どもたちが安全・安心を感じられるような工夫を考えたりする際も、子どもたちから直接意見を聞くことは大切です。災害時における避難所内や地域での子どもの居場所の運営、物資支援の調達などにおいても、子どもたちや若者から意見を聞いて支援内容に反映させることで、よりニーズに合った支援が可能になります。

 災害時に子どもたちが大人に対して気持ちや意見を言うことができるようにするためには、災害が起きてから行動するようでは遅いのです。平時から、大人が子どもたちの気持ちや意見を聴く仕組みをつくっておく必要があります。

 平時から災害時のためにどんな準備をしておくとよいのかについても子どもたちと話し合った上で、市区町村の防災計画などに子どもたちの意見を入れ込むことが大切です。子どもたちが自分たちの意見や気持ちを伝えてもよいのだと思えるような環境を保護者や教員、周囲の大人たちがつくっておかなければなりません。

 子どもの気持ちに寄り添って子どもたち一人一人の話を丁寧に聴くことができる大人、子どもの気持ちや意見を聞くための相談機関・子どもの居場所などを地域で増やしていくことも重要です。

※ 子どもの最善の利益=子どもの権利条約の第3条。子どもに関することが決められ、行われるときには、「その子どもにとって最も大切なことは何か」を第一に考えること。

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