教室で子どもたちが過ごすには、学級の中に仕組みが必要です。具体的に、どんな仕組みが必要でしょうか。誰が朝の会をするのか、誰が窓を開けるのか、誰が給食を配膳するのか…。考えればたくさんの仕組みが学級には必要なことが分かります。
学級の仕組みは学校ごとにも違うので一概には言えませんが、ここではよくある当番や係について取り上げます。
そもそも当番と係は同じものでしょうか、違うものでしょうか。この2つは明確に分けられるものではありませんが、私自身は2つに意図的に分けるようにしています。
◆当番…定期・不定期にかかわらず繰り返される仕事で少人数でよいもの。創意工夫をあまり必要としないもの(例:黒板当番、窓当番)
◆係…学級活動を豊かにするために必要な組織(=文化・スポーツ・レクの3分野、例:スポーツ係、飾り係)
こうして明確に分けることで、それぞれの活動にしっかりとした目的を持ちやすいと考えています。
4月に真っ先につくりたいのが当番です。当番があることで、教師一人で何でもかんでもやるのではなく、子どもたちが自分たちでクラスを動かしていくきっかけになります。
また、頑張る子どもたちを褒めるチャンスにもなります。そのため、私は当番をクラスが始まって3日以内に決めています。
その際、大切にしたいのが、一人一役の当番システムです。どうして一人一役にするかというと、それぞれの仕事に責任を持ってもらいたいからです。そのため、4月になると事前に当番をクラスの人数分考えます。例えば、黒板当番なら黒板①~黒板⑤まで、仕事を割り振ります。その上で、教師が一方的に示すのではなく、次のような形で提示しています。
「今日は当番を決めます。このクラスが1日、授業以外でみんなだけで過ごせることをイメージしたとき、どんな仕事が要りそうですか?」
そう聞くと、子どもたちは自身の経験から、当番を次々と挙げていきます。それらを板書して、リストアップします。係に近い内容が出たときは「これは当番かなぁ?係かなぁ?」などと確認します。
リストアップ後は、第一希望から順番に割り振り、可能な限り子どもたちのやりたい気持ちに沿って仕事を任せていきます。任せた仕事は価値付けしなければ定着しません。頑張っている子を見取り、学級通信で紹介したり、一筆箋を書いたりして認めていくことで、その仕事に対するやりがいが生まれます。
基本的に、学級の仕組みを作る際には作る目的を語り、作った仕組みを軌道に乗せるための価値付けが必要になります。ただ作っただけでは、学級のシステムは決して安定しないことはよくよく意識したいポイントです。
※今回の連載に関連した動画
①当番は一人一役か?基本
②当番の決め方&定着のさせ方