子どもを褒めることは教師にとって必須のテクニックです。何でもかんでも褒めればよいわけではないですし、ただ気持ちを込めて褒めさえすれば相手に伝わるというものでもありません。そこには、プロの教師としての意図的なアプローチが必要なのです。
子どもを褒めることは案外難しいものです。昔、子どもたちに「今日1日で先生に褒められたと思う人?」と聞いたところ、クラスの半数くらいの子は手を上げませんでした。私の中では、全員を褒めたつもりだったのにです。このように、子どもに「褒められた」「先生に認められた」と思わせることは、簡単ではないのです。
褒め言葉を使う際に、大切にしたい15のポイントを以下に示します。
①多様な褒め言葉(100種類以上はほしい)
②相手が求めているタイミング
③教える+褒める(教えてから価値付ける)
④間接的(友達や兄弟にその子の頑張りを伝える)
⑤名前を呼んで
⑥非言語(グッドサイン、拍手など)
⑦愛メッセージ(「先生うれしいなぁ」「ありがとう」)
⑧比較(4月と比べて…)
⑨時間差(「そう言えば、さっきのすごく良かったよ」)
⑩個別やグループ、全体など
⑪声の強弱(わざと小さい声、驚いた声などで)
⑫目線(子どもとのアイコンタクトなど)
⑬表情の豊かさ(笑顔、真剣、泣き顔など)
⑭繰り返す(「うまい!うまいなぁ」)
⑮見えないこと(気持ち)
このようなポイントを踏まえながら子どもを褒められるようになるには、時間がかかります。例えば、褒め言葉の種類一つとっても、自分がどれだけの褒め言葉を使いこなせているかは、意識しないと分からないものです。試しに、1分間で何種類の褒め言葉を言えるか、数えてみてください。普段から褒め言葉をあまり言っていない人は、なかなか出てこないはずです。まずは形からでもよいので、多様な褒め言葉を意識してみてください。
褒めるという行為は、つい行動した結果だけに対してしてしまいがちです。しかし、褒められるような行動を誰もがするわけではありません。そうした子には、「励ます」という言葉もセットで扱いましょう。「あなたならできるよ」などの励ましの言葉がきっかけで、子どもたちは挑戦しようと思えるはずです。
褒めることで、学級の中の雰囲気は前向きになっていきます。4月だからこそ、たくさん子どもたちのことをまずは積極的に褒めることから進めてみてはいかがでしょうか。