【通常学級の「特別」ではない支援教育(3)】学級経営UD① 安心感のある学級

【通常学級の「特別」ではない支援教育(3)】学級経営UD① 安心感のある学級
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 今回から3回にわたり、学級経営のユニバーサルデザイン(UD)について具体的に解説していく。

○教師の「見方」を変える

 発達障害や「気になる」行動は「努力不足」「身勝手」「わがまま」などと誤解されやすい。加えて注意・叱責(しっせき)や叱咤(しった)激励が多くなりがちである。「叱られたい!」と願って登校する子どもはまずいない。本人は「何とかしたい」「うまくやりたい」と思って努力している。その意味で、「困った」子どもなのではない。何かに「困っている」ためにうまくできない子どもなのだ。そして、その「困り方」は(どの子どもにも私たちにも「困る」ことがあるように)大小・強弱・濃淡がある。配慮を要する子どもたちは学校生活上で特に「困っている」と受け止めたい。そのように、まずは「見方」を変えて、子どもが安心して過ごせる学級づくりを目指したい。

○困った顔ができる学級

 間違えない・失敗しない・困らないことが大事なのではない。間違えたり、失敗したりしたときに「ゴメン…」と恥をかき合うことができる学級、あるいは困ったときに「助けて!」と言える学級にしたい。そのような安心感があると、間違っても、失敗しても「また頑張ろう!」と思える。失敗した自分・間違った自分をなだめることができるようになる。そのためにも「先生は誰でも助ける!みんなもお互いに助け合おう!」という学級全体へのメッセージを大切にしたい。

○違ってもいい学級

 違っていいという文化は、共生社会を目指すインクルーシブ教育システム時代の学校・学級づくりにおいて、極めて重要な要件となる。「一人一人の顔が違うように、得意や苦手、困ることもみんな違う。困り方が違えば、支援の仕方も違って当然」という安心できる雰囲気を大切にする。例えば、「眼鏡」はれっきとした「合理的配慮」なのだ。それを「ずるい」「不公平」などと非難する友達も教師もいない。「支援も違っていて当たり前」という感覚が学級に浸透すると「合理的配慮」も「眼鏡」のように自然に許容される文化が醸成され、「特別」な支援は限りなく特別ではなくなっていく。「あらゆる他者を価値のある存在として尊重」(学習指導要領前文)する寛容な態度は、このようなユニバーサルな学級文化の中でこそ育まれる。学級と授業こそが「特別」ではない支援教育の基盤となる。

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