【HSP・HSCの本質(10)】HSPに関する情報を得るには

【HSP・HSCの本質(10)】HSPに関する情報を得るには
【協賛企画】
広 告

 マスメディアがHSPを特集したことなどを通じて、2019年ごろからHSPは社会で急速に認知されるようになりました。それに伴って、書籍やネット記事、SNSなどでHSPにまつわる多くの情報が発信され、現在もHSPブームの最中にあります。10年前とは異なり、今ではHSPに関する情報を簡単に手に入れることができるでしょう。

 その一方で、日々多くの情報が発信され、その内容は玉石混交の様相を呈しています。そして心理学の専門家から見れば、それらのHSP情報の多くは、研究に基づかない個人的な経験に根差したもののように見えます。その点で、適切なHSP情報かどうかを見極めるのが難しい状況になっているとも言えます。

 インターネットで「HSP」と検索すると、精神科クリニックのサイトが上位にヒットします。一見、精神科クリニックのHSP情報は信頼できるように思えるかもしれませんが、、実際はそうではありません。少なくとも、この領域の研究者である筆者から見ると、研究に基づかない説明が多くなされています。本連載で紹介した学術的なHSPの考え方が、精神科クリニックのサイトで説明されているかぜひ確認してみてください。

 書籍は信頼できるHSPの情報源なのでしょうか。これについても残念ながら、研究に基づかない情報が多いと言えます。第3回でご紹介したポピュラー心理学としての説明が中心です。書籍の執筆者の中には、精神科の医師やHSP専門カウンセラーを名乗られる方もいますが、HSPの情報に関しては、そうした肩書と提供される情報の正確さには大きなズレがあるように見えます。

 残念なことに、研究に基づくHSPの情報は、現状ではあまり多く発信されているとは言えません。その状況を憂慮して、筆者はHSPブーム以降、信頼できる情報源を増やすことに取り組んでいます。手前みそとなりますが、研究に基づくHSP情報を収集したい方は、以下の媒体を参考にしていただくとよいかもしれません。

 (おわり)

・心理学者によるHSP情報サイト「Japan Sensitivity Research」

・飯村周平 (2023)『HSPブームの功罪を問う』岩波書店

・飯村周平 (2022)『HSPの心理学:「科学的根拠(エビデンス)」から理解する「繊細さ」と「生きづらさ」』金子書房

Kaien特別セミナー「発達障害×HSP」(YouTube)

SYNODOS「今こそ、HSPを科学的根拠にもとづいて理解する『HSPブームの功罪を問う』著者、飯村周平氏インタビュー」
 

広 告
広 告