【通常学級の「特別」ではない支援教育(8)】授業UD③ 「動き」を大切に-動作化

【通常学級の「特別」ではない支援教育(8)】授業UD③ 「動き」を大切に-動作化
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 前回に続き、授業のUD(ユニバーサルデザイン)について具体的な方策を紹介していく。

○「動き」を活用する

 多動性の強い子どもは「動きたい子ども」「動くことが得意な子ども」であるとポジティブに「見方」を変える。つまり、授業中に何らかの「動き」を活用することは、多動性の強い子どもにとっては「ないと困る」必須の支援となる。

 一方で、私たちも講演を聴きながら睡魔に襲われることがしばしばある。よほど興味関心を引く内容でない限り(いかにプレゼンテーションソフトを駆使しようとも)、「聞くだけ・見るだけの活動」で、注意集中を維持するのは容易ではない。「動き」には、聴覚・視覚をはるかに凌駕するくらい、覚醒水準を高めたり、気分転換を図ったりする効果がある。すなわち、「動作化」は多動性の強い子どもだけでなく、どの子どもにも「あると便利で・役に立つ」ユニバーサルな支援になる。

 動作化の具体例としては、次のようなものが挙げられる。

①音読・フラッシュカード・簡単クイズなどで「目で見て・声に出して・耳で聞く」多感覚器官の「動き」を同時につくり出す。

②フィンガーサイン、ハンドサインなどで賛成・反対・中立を表明する、板書の一部を指で指す、教科書の問題番号を指で押さえる、頭の上で○や×や△を作る、漢字や地図記号等の空書きなど、手指を使った意思表明・参加型の授業。

③ペア活動、グループワーク、フリーウォーク・トーキング活動、ヒントコーナー、黒板の前に集まる、黒板にネームカードを(賛成・反対コーナーに)貼るなど、動いてもいいアクティブな授業。

④「整理整頓タイム1分」「リフレッシュタイム」、プリントの配布・回収などの動ける時間の意図的な確保。

⑤国語の時間などにオノマトペ言葉を動作で表現したり劇化したりすることで、ある場面や登場人物の気持ちをよりリアルに再現する。

 これら当たり前の「動く」に関わる教育技術を見直し、意図的に活用することは、UDの大きなポイントになる。

○手は突き出た脳である

 体育の時間になぜウォーミングアップをするのか。身体・筋肉を温めて動きやすくするためである。では、座学では脳を温める必要はないだろうか。乳幼児教育や高齢者施設でなぜ手遊び・指遊びを取り入れるのかを考えれば答えは明らかだ。「突き出た脳」と言われる手指や多感覚器官を活用する「動き」は、脳を活性化する。「動作化」はUDを象徴するものであり、学力向上にも大きく寄与するに違いない。

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