筑波大学人間系助教
本連載では、まず「教師の学び政策」の経緯を振り返り、社会の急速な変化の中で知識・技能を絶えず刷新していく主体性や自律性が教師に求められていることを確認しました。次に「教師の学び」を支える理論を概観し、「教師の学び」が経験と省察の質、そして関わり合いによって支えられていることを解説しました。
前回まで、「教師の学び」に関する理論的な解説を行ってきました。今回は再度、「教師の学び政策」に目を向けて、「新たな教師の学びの姿」の実現に向けた最近の動向を見ていきたいと思います。
前回は、経験を通じた個人の行動や認識の変化に着目する「学習」という言葉と、他者やモノとの関わり合いに着目する「学び」という言葉について解説しました。簡潔にまとめると「経験による変化」とそれを生み出す「関わり合い」が、学びの土台になっています。では質の高い「教師の学び」はどうしたら生まれるのでしょうか。
前回は「教師の学び」に関する学術的なアプローチを振り返り、目に見える教師の「行動」に関する研究、教師の内面に着目した「思考と認識」に関する研究、教師と他者との関わりに注目した「場や環境」に関する研究を紹介しました。今回はさらに根本的な見方に立ち返って、「教師の学び」が持つ意味を考えてみたいと思います。
前回までは「教師の学び政策」の経緯に触れ、「実践的指導力」や「資質能力の内容と過程」の重視から「教師の学び」が強調されるようになる中で、教員研修の在り方がどのように変化してきたのかを解説しました。実はこれらの流れに応じて、教師を対象とした研究の対象や方法も変化してきました。今回は、学術的な視点から「教師の学び」がどのように研究されてきたのかを解説します。
前回は「教師の学び」を支えるシステムとその課題について説明しました。今回は2021年1月の中教審答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」(以下、答申)と特別部会の「『令和の日本型学校教育』を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて」(以下、審議まとめ)を見ながら、現在進められている「新たな教師の学びの姿」の内容を見ていきたいと思います。
前回は2005年以降の中央教育審議会(中教審)答申を概観しながら、12年の「学び続ける教員像の確立」が「教師の学び政策」のポイントになっていることに触れました。今回は「学び続ける教員像の確立」が、どのような形で具体化されることになったのかを見ていきたいと思います。
前回は「教師の学び」が強調される以前の政策に着目して、1980年代には「実践的指導力」が、1990年代には「資質能力の内容と過程」が強調されたことを確認しました。今回は「教師の学び」が、具体的な政策の中でどのように表現されているのかを見ながら、その意味するところを解説していきます。
「教師の学び」や「学び続ける教師」という言葉に違和感を覚える人は少ないと思いますが、これらが教員政策の中で強く語られるようになったのが、ここ15~20年間の特徴と言えます。特に2005年以降に、教師の資質能力の在り方やその向上策を提言してきた中教審答申や公表されてきた審議のまとめでは、一貫して教師が学ぶことや学び続けることの重要性が主張されています。
学校教育が社会にとって重要な営みである以上、誰もがその教育を担う優れた教師を求めます。とりわけ教育政策、学校教育現場または教育学や教員養成に携わる研究者の間では、どのようにしたら優れた教師を確保できるかが大きな課題として認識されています。
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