愛知県東浦町立緒川小学校教務主任
本校での教員生活が6年目を終えようとしている。赴任当初はちんぷんかんぷんだった私が、視察のお客さまや教員を目指す大学生のボランティアに「緒川の教育」を説明したり、外部講師として取り組みを紹介しに出掛けたりする日々が続いている。職員のみならず、多くの人たちに「週プロ」や「O・T」などの「緒川の6態様」を伝えるようになったが、それを実践するだけではうまくいかないことも必ずお話しさせていただいている。「週プロ」や「O・T」は、あくまでも一つの手法である。だから、それをマスターしたからといって、「個別」や「協働」の学びが成立するわけではない。
緒川小は個別の授業が続く――そう思われていることがある。否、緒川小の個別の時間はそんなに多くない。大半は集団学習・一斉授業である。「週プロ」は学期に1回、「O・T」は年間25時間、教育課程1015時間からすれば、ほんの一部である。
総合学習「生きる」は、1・2年生の「生活科」と3~6年生の総合的な学習の時間を一体的な構造のものと捉え、6年間に系統立てたものである。基本は学年授業で、学年全員で授業が進んでいく。47年前の開校当時からこの学習に取り組んでおり、「生活科」や「総合的な学習の時間」ができた時には、多くの視察があったと聞いている。また、ユネスコスクールの愛知県公立小学校第1号の加盟校の実践としても、注目をされている。
現在、本校の実践の中で最も注目されているのが「週プロ」である。単元内自由進度学習がメジャーになり、その発祥が緒川小と言われているからである。
「6態様」の中で、最も「個別最適な学び」に針を振っているのが、「オープン・タイム」(O・T)である。個人による探究活動で、自分で目標を立て、学習計画を作り、実行していくという4~6年生の学びである。
「6態様」の一つに「はげみ学習」がある。「はげみ」とは、6年間で学ぶ「文字」「計算」「英単語」「体力づくり」の基礎的内容の定着を目指すものである。A5サイズの小さなプリントに、入学時から卒業までの内容がスモールステップで学べるようにまとめられている。「文字」は89ステップ、「計算」は67ステップを踏むことになる。現在は、子どもたちのタブレット端末にも配信をしており、データ上でも学べるようにしている。
校務主任を2年務めた後、教務主任になった。一般の教務主任と同じく、教育活動の計画・運営をしていくのが主な仕事だが、本校の場合は大きく異なる点が一つある。それは「学校の主体が子どもである」ということである。
校務主任の仕事に、校地の整備がある。草刈りをしたり、畑を耕したり、運動場を平らにしたり、子どもたちの安全と学びのために、時には奮闘しなければいけない日もある。しかし、運が悪いことに代々の校務主任が男性だったため、小柄な私にはどの道具も使いこなすのが大変だった。
赴任後、校務主任を2年間務めた。施設の安全管理や学習環境の整備などが、メインの仕事であった。そんな私を悩ませたのが、この建物「オープン・スクール」であった。
6年前、東浦町内の小学校で担任をしていた私はある日突然、緒川小学校へ校務主任として異動することになった。赴任するにあたり、当時の校長先生から『個性化教育30年』の本を手渡された。現在の研究冊子『自ら学ぶ子』の元となる本だが、当時は目を通してもさっぱり分からなかった。
広告ブロック機能を検知しました。
このサイトを利用するには、広告ブロック機能(ブラウザの機能拡張等)を無効にしてページを再読み込みしてください