授業時数の在り方の検討 義務教育9年間を見通した考え方で

教育新聞論説委員 工藤 文三

中教審への諮問と授業時数の在り方

4月17日に、文科相は中教審に対して「新しい時代の初等中等教育の在り方」について諮問をした。

諮問内容は大きく四項目で構成され、第一に掲げられたのが、「新時代に対応した義務教育の在り方」である。この項目は、四つの内容からなっているが、その一つに次の内容が示されている。

「教科担任制の導入や先端技術の活用など多様な指導形態・方法を踏まえた、年間授業時数や標準的な授業時間等の在り方を含む教育課程の在り方」
ここで「標準的な授業時間」が何を指すのかは分かりにくいが、いずれにしても、教科担任制や先端技術を活用する指導形態を踏まえたとき、授業時数の在り方が課題になるとの問題意識と理解できる。

前者の教科担任制については、小学校のこれまでの学級担任を前提とした時間割に加え、一部の教科については教科担任が授業を担当する形になる。

一方、「先端技術の活用」については、ICTやAIなどの先端技術を用いて多様な学習形態を可能にするには、単位時間の考え方に工夫が求められよう。

教育課程における授業時数

学校で編成する教育課程とは、学習指導要領解説総則編で「学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した各学校の教育計画」と説明されている。

教育課程の要素として、学校教育の目的や目標、教育の内容、児童生徒の心身の発達と合わせて授業時数が示されている。これらの要素が相互に関連しながら、教育課程が編成される。

授業時数設定の枠組みには、年間授業時数、週当たり授業時数、年間授業週数、年間授業日数がある。年間授業時数については、1958年の改訂以降、各学年各教科の年間授業時数を示してきた。

当初は「最低」時数であったが、68・69年改訂から「標準」時数に改められた。週当たり時数はこれ以降示されなくなり、年間授業週数は、35週以上とされた。年間授業日数は240日以上とされたが、77年改訂以降は示されていない。

また、年間授業時数の示し方は、89年の改訂時に、中学校の一部の教科などに上限と下限を示す方式がとられたことがある。

授業時数の在り方の検討を

今後、中教審において、他の事項と合わせて授業時数の検討が進められるが、教育課程における授業時数の在り方を、その根本に立ち戻って検討することを期待したい。

年間授業時数に示す各教科等の時数は、それぞれの教科の指導内容を踏まえて相互に調整しながら設定されている。ただ、小・中学校を通して、授業時数の割合を概観すると、教育課程の編成の考え方を知ることができる。

例えば、小学校の教育課程では各学年の総時数に占める国語の時数の割合が、低学年で大きく高学年になるに従って小さくなっている。体育、保健体育は、各学年ともほぼ固定した時数を配当している。また、近年の改訂では、中学校の音楽および美術の授業時数が以前に比べて小さくなっている。

年間授業時数の示し方には、原理的には、現行の方式とともに、各教科の割合や%で示す方法、上限と下限の幅を示す方法などがある。

現行では小学校と中学校の授業時数はそれぞれ設定されているが、義務教育9年間を見通した時数設定の考え方が検討されてしかるべきである。

さらに、義務教育の基盤となる学力の確実な定着を促すための時数の用い方や、教科横断的な資質・能力の習得を確認するための時数運用の検討も期待したい。

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