【働き方改革のキーパーソン(14)】働き方改革の未来にあるもの

埼玉県川口市立小谷場中学校事務主査 栁澤 靖明
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中教審の答申によれば、学校における働き方改革の目的は「教師のこれまでの働き方を見直し、教師が我が国の学校教育の蓄積と向かい合って自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになること」である。

そう、主語は「教師」である。そのため、教師を支える(負担を軽減させる)意味で事務職員がフィーチャーされている側面がなくもない。しかし、本連載を最後まで読んでいただいた人は分かると思うが、事務職員の働き方を見直すことで学校は変化し、その成果は子どもや保護者にも波及していく。

学校の中でも社会の中でも、事務職員が表に出て主張する場面は少ない。そのため、学校という社会的認知度が高い場所で働いているにもかかわらず、事務職員の認知度は低い。保護者は、担任教師や校長、保健室の養護教諭までは知っていても、事務職員まではたどり着かない。

この現象は、事務職員の仕事が子どもや保護者、地域に向いていないこと、届いていないことと無関係ではないだろう。授業をするわけでもないので、学校で目立つ存在でなくてもいいと考える事務職員もいる。しかし、事務職員の仕事は社会的に価値が低いのだろうか――。もちろん、その答えは否だ。

わたしには「公教育の無償性を実現し、子どもの教育を受ける権利を保障する」というモットーがある。

前回も触れたように、無償とされている義務教育だが、保護者の負担がゼロというわけではない。子どもの貧困が問題となっている今、少しでも完全な無償に近づけ、子どもたちがお金の心配をせずに学校へ通えるような状態にしていきたい。そうした理念に基づいて、日々さまざまな取り組みをしている。

それが評価されてか、昨年、その様子がNHKで放映された。社会が事務職員の仕事の価値を認めてくれたことの証しだと自負している。

本連載はここまで、働き方改革のキーパーソンという視点で続けてきたが、基本的に単数配置である事務職員がどこまで担えるかは、人によるところも大きい。しかし、可能性を社会に示していかなければ価値は高まらない。

事務職員という職業の価値を高めることは、自分自身のためではなく、子どもの教育を受ける権利を保障していくためにも大切だと考えているからである。

事務職員が、子どもたちの今、そして未来のためにやるべきことは満載だ。

(おわり)

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