【「部活動問題」の論点整理(9)】地域移行以外の解決策試案

青柳健隆 関東学院大学経済学部 准教授

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 学校教育界と日本社会という2つの円を想像してみてください。学校教育界という小さな円が日本社会という大きな円の中に入っている図です。学校教育界の中では、限られた人(教職員)、限られた予算、限られた時間というリソースの中で、教育効果を最大化するように動いているはずですし、そうであってほしいと思っています。

 もし、部活動の意義がそれほどにまで大きく、いずれかの授業やそこに含まれる教育内容と比較しても大きいのであれば、授業時数を減らして勤務時間内に組み込むという方法もあります。現在は放課後、活動の大部分が勤務時間外に行われていますが、単に「勤務時間外に行われているからその部分を削減する」という発想ではなく、授業時数、学校行事、事務作業なども含めて勤務時間内の業務全体を見直すという内側の改善が、教員、教育行政、法制度検討者などに求められます。念のため申し添えますが、「部活動は教育課程外だから」「現行の学習指導要領に基づくと」という現状のルールを一部無視した考えですので、ご容赦ください。

 教育効果の最大化とは限られた時間内でできるだけ多くの「量」をこなすことではなく、「質」の向上と相乗して達成されるものです。また、教員が新しい情報をインプットしたり、思考したりする余裕があることも、教育への活力と創造性を生む(質を高める)ためには重要です。

 限られたリソース(人、予算、時間)の中では、達成できる教育効果に限界があります。また、部活動の意義や価値には教育的なもの以外のものも含まれています。そのため、「部活動の一部は学校教育の中で担いたい」というモチベーションが引き続き生じたとしても、他の教育活動を圧迫してでもその全てを今後も担い続けたいという状況にはならないだろうと思われます。

 もし、日本社会(外側の円)がより大きな教育効果(または、それ以外の機能や中長期的な恩恵、インフラ的な部分)を学校に望むのであれば、人を増やすか、予算を増やすかすることによって、学校教育界の円を大きくするしかないのです。地域移行のコストやリスクと比して、もしかするとその方が合理的・経済的かもしれません。

 一案ですが、教職員を増員し、早番(登校見守りから午後まで)、遅番(お昼ごろから部活動終了まで)、土日勤務の教職員などを導入すれば、放課後や休日の部活動を学校内で持続することも不可能ではないでしょう。

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