【プロティアン・キャリア教育 (10)】現代版プロティアン・キャリアとは

内田雅和 三田国際学園中学校・高等学校 中学教頭

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 さまざまなキャリア理論がある中、ダグラス・ホールが主張する「プロティアン・キャリア」の考えは、変化の激しい今の時代に適合した最新のキャリア理論の一つです。もはや一つのアイデンティティーで生きられる時代ではなくなりました。だからこそ、中学生、高校生の多感な時期に、自分の人生と向き合う時間が必要です。

 将来の職業を調べて進学する学部学科を研究するだけでなく、変化の激しい時代のニーズを捉え、変幻自在に自己を成長させていくことで、自分の人生を自由に選択できる「プロティアン」なキャリア教育が、現代の日本には必要です。多くの生徒が生き方を変幻自在に選択できるように、キャリア教育も変化し続けなければいけません。

 今後のキャリア教育は教師だけでなく、キャリアカウンセラーなど外部の力を活用しながら推進していくべきです。アメリカの学校では専門に特化したキャリアカウンセラーが、生徒のキャリアプランの作成に関する手助けをしています。日本では、アメリカのように職能が分化しておらず、教師がさまざまな役割を兼務している状況があります。

 キャリア教育を進める際は、教師に全ての負荷をかけるべきではありません。キャリアカウンセラーの常駐が難しいのであれば、保護者や地元の企業・NPOなどに協力を求める姿勢が必要です。こうした取り組みを学校単位に委ねるのでなく、資金面や制度面からも、外部の力を取り入れやすくする改革が必要です。

 プロティアン・キャリアというキャリア理論は、時代に合わせてアップデートが試みられてきました。法政大学の田中研之輔教授がプロティアン・キャリアを発展させ、「現代版プロティアン・キャリア」を提唱しています。

 「現代版プロティアン・キャリア」の普及と組織と個人のより良き関係の創出を理念に掲げ、2020年3月には一般社団法人プロティアン・キャリア協会も設立されました。21年12月よりキャリア教育支援を開始しています。キャリアカウンセラーの資格を保有する認定メンター・ファシリテーターがサポートします。

 プロティアン・キャリアの理論に基づくキャリア教育は、生徒と学校外の世界をつなぎ、生徒の過去と現在、そして未来をつなげる教育です。多くの学校で、外部人材の導入、また外部人材との協働が進められていくことが、日本のキャリア教育を推進していく上で大切なことです。

 (おわり)

プロティアン・キャリア協会WEBサイト

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