【丸山洋司局長】教育格差解消 「国がしっかり口を出す」

文科省初等中等教育局長に就任した丸山洋司氏は7月16日、記者団による就任インタビューに応じた。これまでの教育行政に関わってくるなかで、地方における教育格差の問題に強い関心を持ってきたとして、「各自治体がそれぞれの水にあった教育をしていくことは当然のことだが、ベースとなる教育条件については、国がしっかり口を出すことがあっていい」と述べ、教育格差の解消に向けてナショナルスタンダードを担保する政策を積極的に展開していく考えを強調した。

教育格差の解消に意欲を語る丸山洋司・文科省初等中等教育局長

丸山氏は大分県の県立高校を卒業後、大学受験の浪人中に国家公務員初級試験を受けて大分医科大学職員となり、転入試験をパスして1988年、当時の文部省職員となった。いわゆるノンキャリアが、文科省の局長ポストにつくのはこれが初めて。

この点を問われた丸山氏は「内示を受けて正直、驚いた。昇進のスピードが違うとか、一般論として意識することはあったが、これまで大きな政策課題を担当し、何度も達成感のある仕事に携わってきた。文科省は採用種に関わらず仕事がやれる、そんな職場なのかな、と私自身はとらえている」と答えた。

印象に残った仕事としては、1990年代に教育用コンピューター整備の財源を国の補助金から地方交付税に切り替える際に、係長として担当したへき地マルチメディア推進事業を挙げた。都会の学校と離島や中山間地をテレビ会議システムで結び、教育格差の是正を促す施策。

「当時はインフラが十分ではなくて、NTTに頼んで公衆回線の海底ケーブルを引いてもらったり、南大東島の学校と衛星回線でつないだり、いま考えると大きな取り組みだった。官民一緒になって、離島や中山間地で育つ子供たちの教育条件整備に取り組んだことは、自分の中で大きなものになった」と振り返った。

こうした経験から、教育格差と地方自治体の関係について、強い関心を持つようになった。「義務教育では、離島や中山間地でどうしても教育格差が出てきてしまう。地方教育費は全体で17兆円ぐらいあり、そのうち国費は2兆円くらい。残り15兆円は学校設置者である自治体の負担で、地方税や交付税による一般財源でまかなわれている。一般財源は使途が特定できないので、結果的に教育格差が出てくる」と指摘する。

こうした問題意識から自治体経営について学びを深めたくなり、文科省地方財政室長として勤務しながら法政大学大学院に入学し、2017年に修士号を取得した。

丸山氏は「地方財源をどう使うかは、民意を反映して自治体の長が決めるのがルール。だが一方で、ナショナルミニマムの在り方を考えていくことが大事だ」と指摘。「国として学習指導要領や教科書、義務教育費の国庫負担制度などを通してナショナルスタンダードは担保している。地方分権の中で、各自治体が特色を生かして教育していくのは当然だが、ベースとなる教育条件の部分については、国がしっかり口を出すことがあってもいいと思う。それがないと、ナショナルスタンダードの担保が厳しくなってくる」と話した。

教育現場では現在、ICT環境の整備が地域間格差につながるのではないかと懸念する声もある。そのなかで、ナショナルスタンダードとなるICT環境をどう整備していくのか。

丸山氏は「地方財政は、基本的に地方税でまかなわれているのだから、国が口を出せるものではない。国としてやるなら、特定財源の活用などを考えていく必要があるだろう」と述べた。

局長としての抱負を問われると、「自分が仕事をしていく上での基本的な考え方は、現場ファースト。前向き、外向き、現場主義。できるだけ現場の考えを踏まえたかたちで、一つ一つ課題をこなしていきたい」と答えた。好きな言葉は「一隅を照らす」。その意味について、「与えられた立場ポジションで、できることを最大限やっていくということ」と説明した。